2012 Fiscal Year Annual Research Report
世界初の火星飛行探査実現に向けた基盤研究と高高度飛行試験
Project/Area Number |
24246136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 大樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70360724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 聖 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10373440)
得竹 浩 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80295716)
豊田 裕之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (00415895)
大槻 真嗣 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50348827)
野々村 拓 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (60547967)
安養寺 正之 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究員 (70611680)
竹内 伸介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (20353419)
米本 浩一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80404101)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 火星飛行機 / 多目的設計探査 / 低レイノルズ数 |
Research Abstract |
本年度は,「火星飛行機実現の鍵を握る基盤技術の研究開発」に関して,(A)火星で飛ぶために必要な基礎研究,(B)観測可能な飛行機であるための,自在かつ安定な航行性,通信制御,安全性に関わる研究に大別し,進めた.以下にそれぞれの研究課題に対する成果を述べる. (A)火星で飛ぶために必要な基礎研究については,まず主翼の更なる性能向上を目指し,多目的設計探査アルゴリズムにより翼型の最適設計を行い,その結果,当初の要求を遙かに超える翼型の解を得ることが出来た.今年度にはこれら翼型の模型を製作し,次年度に風洞試験を行い,検証を行う準備が出来た.また火星飛行機の全機形状での風洞試験も実施し,全機形態の空力特性,特に舵面の舵効きについて詳細に調べた.その結果,火星での飛行状態を模擬した低レイノルズ数においては,一般的な航空機の設計だけでは対応が難しく,低レイノルズ数における空力データの詳細な設計データベースと現象の更なる理解が必要であることが分かった.これらは現在,盛んに進められている無人航空機の分野にも適用されると思われる.また超軽量機体についても,複数方式の試作が完了しており,次年度に詳細な評価試験を行う.加えて,火星環境に適した太陽電池の試作も行い,評価の準備が整った. (B)自在かつ安定な航行性,通信制御,安全性に関わる研究については,画像情報を用いた位置推定アルゴリズムの開発と,姿勢検出システムのゾンデを用いた高高度試験によるセンサか感度の評価を実施した.併せて,火星飛行機の運動モデルを作成し,突風応答の解析を行った.その結果,火星を飛行した際の飛行制限領域の定義が出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,研究項目を大きく二つに大別して実施し,それぞれについて研究分担者の協力により,順調に進んでいる.特に空力については,火星飛行機実現に向けた性能向上に向けて大きく前進しており,その過程で得られた学術的成果も多い.これらは,来年度に風洞試験による評価を行うことで目的の大幅な達成が見込まれる.また学術的評価としての論文に関しても今年度は学会発表が主であったが,来年度には複数の論文公開が見込まれる.超軽量構造については,今年度に複数候補からある程度絞ることが出来なかったが,試作は完了し,早期に評価できる準備は整っている.ただし,推進系に関しては基礎的な特性評価はある程度,進むことが出来たが,実装を意識した構造,熱設計に遅れが出ている.この点は次年度に加速する部分となる.航法技術に関しては,姿勢検出システム,位置推定アルゴリズムなどの研究は順調に進んでおり,次年度には研究成果の更なる高精度化を目指した実証試験を行うところまで進んでいる.展開技術に関しては,展開挙動を含むシミュレーションがある程度完成し進んでいるが,その構造を含む展開方式自身の検討が遅れており,加速する必要がある.また火星飛行機全体の熱システムの第一次解析モデルが完成し,要素試験の温度結果を盛り込むことで,次年度以降に高精度化を諮る予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,順調に研究が進んでいる課題に関して,実際の火星飛行を考慮したモデルの高精度化を目指すこと,また適宜,それらの成果を学会,学術論文誌に公開することを目指す. 来年度には,研究の加速が必要と見込まれる部分について,集中的に実施し,火星日扱き右記の実現可能性を示す. また各研究要素を統合した火星飛行機の複合領域最適設計を実施し,高高度実証試験に向けた機体の検討と製作を行う.ただし,当初予定では,3年目に飛行試験を実施の予定ではあるが,2年目の進捗状況によっては,確実に飛行試験を実施するために延長の可能性が考えられる.この点については,来年度の中期に研究状況を判断して早期に決定することとする.
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Research Products
(42 results)