2012 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ複合排ガス処理によるスーパークリーン船舶ディーゼルエンジンシステムの開発
Project/Area Number |
24246145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大久保 雅章 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40223763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 智之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00326274)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 船舶工学 / 舶用機関・燃料 / プラズマ / ディーゼルエンジン / 排ガス処理 |
Research Abstract |
本年度は前述した研究目的を実現するために,A,Bの項目の研究を実施した。 A. 非熱プラズマDPF再生:セラミックディーゼル微粒子フィルタ(DPF)に捕集された微粒子の非熱大気圧プラズマによる新規な燃焼再生方式を舶用重油燃料駆動ディーゼルエンジンに対して実証,最適化する。この方法では,低温プラズマで励起された活性種をDPFに注入し,ディーゼル微粒子を,低温で燃焼除去するものである。船舶ディーゼル排ガスのPMはDry Soot, SOF(可溶性有機物), HCs(炭化水素状粒子)などが含まれ,プラズマ反応は未解明であるが,本研究ではDPFの完全再生にあえて挑戦した。内容は以下の通り。 1.リアクタの最適化:DPF再生のためのリアクタを何種類か試作し,放電状態の観測を行う。並行して,電子温度,電子数密度の計測を光学的方法で行う。その他,オゾンのNO酸化特性に及ぼすガス温度の影響など,様々なプラズマの特性の解明に関する試験を行った。2.間接再生実験:現有のパルスコロナ高電圧装置 により非熱プラズマをDPF外部に発生させ,DPFを完全再生する技術の確証実験とDPF再生時間の短縮を目指し成功した。3.大気圧プラズマの数値シミュレーション:電離状態のシミュレーションを汎用ソフトCFD-ACE+を使用し実施し,船舶排ガスに対する新規有用プロセスの開拓と実験的検証を行った。 B. 非熱プラズマ脱着NOx還元:エンジンの運転モード(燃料噴射モード)を切り替え,酸素リッチな状態ではNOxを含む排ガスを一度吸着させ,その後,酸素量が少なくHC, COの多い状態へエンジン運転モードを切り替え,プラズマを印加してNOxを脱着・還元させ,同時にHC, COを酸化無害化するシステムを実証した。また,排ガス中のNOxを一度吸着させ,エンジン吸気に循環させ,NOx排出削減を図る独自技術に関しても試験した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目は,(1)非熱プラズマDPF再生,(2)プラズマリアクタの最適化,(3)間接再生実験,(4)大気圧プラズマの数値シミュレーション,(5)非熱プラズマ脱着NOx還元,(6)排ガス成分再循環NOx還元,の6つであるが,(1)~(5)は今年度もひととおりの試験,解析を実施することができた。当初の計画通り,不足分を来年度も十分に行っていき,成果の公表にも力を入れる。(6)の実験に関しては,装置の完成に時間がかかったが,今年度完成し性能試験を開始した段階である。試験を継続し,装置の改良を実施し,来年度に高い性能が実証できるような研究計画を作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,前期(1)~(6)の実験ならびにシミュレーションを継続して推進する。大学のラボ実験やシミュレーション研究を行う上での問題点は特に発生していない。研究期間中に,企業内に設置している大型の船舶ディーゼルエンジンでの試験の実施や実船試験などを実施すべく,関連企業と調整,打ち合わせ中である。大学でのラボ試験が成功裏に終われば,これらの大規模実証試験の実施もスムーズに実現できると考えている。
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