2013 Fiscal Year Annual Research Report
先端ナノ組織分析による事故時加熱環境を考慮した原子炉構造材料の劣化機構解明と予測
Project/Area Number |
24246155
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10302209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 耕治 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50344718)
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50510129)
清水 康雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40581963)
南雲 一章 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40719259)
西山 裕孝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 安全研究センター, グループリーダー (60414596)
勝山 仁哉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 安全研究センター, 研究副主幹 (00403155)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 圧力容器 / 事故時加熱環境 / 陽電子消滅 / 3次元アトムプローブ / 劣化機構 |
Research Abstract |
福島第一原発事故以来、国民の原子力に対する安全への要請は極めて高くかつ緊急課題である。本研究では、従来は想定していない高温環境に原子炉構造材料が曝されたときに、材料に生じる変化を最新のナノスケールの分析手法で明らかにし、それが材料の機械的特性等に与える影響を解明し予測することを目的とする。H25年度の成果は以下の通りである。 (1)中性子照射試料のナノ組織解析 平成24年度に行った未照射材料のナノ組織解析(陽電子消滅、3次元アトムプローブ等)を継続するとともに、中性子照射材も同様の測定を行い、照射による影響を明らかにした。陽電子測定では、平成24年度に製作した高温その場測定装置等を用いて、陽電子消滅同時係数ドップラー広がり測定等を行った。その結果、例えば、低合金鋼では、Pの粒界偏析が照射によって促進されること、第1世代型炉に多く含まれるCu不純物は中性子照射によって微細なCu富裕析出物を形成するが、450℃程度の高温では回復せず、550℃程度以上で回復することがわかった。また肉盛り溶接ステンレス鋼では、δフェライト相においてCrスピノーダル分解とG相の前駆体と考えられるNiMnSiクラスター形成が進行するが、温度によって進行具合が異なることがわかった。 (2)機械的特性試験対応する計算機シミュレーション 平成24年度に最適化した方法で機械的特性試験を行い、中性子照射材料と未照射材料との違いを定量的に調べた。また、3次元アトムプローブによるミクロ組織変化やナノ硬さ測定の結果に基づいた有限要素法解析を行い、材料内の不均質な応力分布を評価し、中性子照射後の強度や腐食割れ感受性を検討した。さらに、スピノーダル分解に伴う硬化機構を分子動力学シミュレーション等を用いて定量的に明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H24年度に開発した高温その場測定装置等を用いた中性子照射材の分析は計画通りに順調に進み、照射によって形成されるナノ組織が高温でどのように変化するかが明らかになってきた。さらに、当初の予定以外にも、圧力容器の肉盛り溶接ステンレス中のCrのスピノーダル分解が硬化に及ぼす影響を分子動力学シミュレーション、モンテカルロシミュレーション、第一原理計算を駆使することで定量的に明らかにすることができ、実験と理論との対応がより明確になってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、先端の分析手法を駆使することが特徴である。当初の研究計画で予定されていたJMTRによる照射は、東日本大震災後の新規制基準適応審査が遅れており再稼働していない(H26年度中に再稼働予定)が、既存の照射試料を活用するとともに、海外の研究炉(ベルギー原子力研究所SCK/CENのBR2炉)を代替として利用し、成果を上げることができた。今後も、JMTRの再稼働をにらみつつ代替炉等を活用して成果を上げていきたい。また、実験と理論との対応をより密接に取ることにより、組織分析にとどまらず機械的特性の予測につなげていきたい。
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[Presentation] Positron bean facility at Kyoto University Reactor2013
Author(s)
Q. Xu, K. Sato, T. Yoshiie, T. Sano, H. Kawabe, Y. Nagai, K. Inoue, T. Toyama, N. Oshima, A. Kinomura, Y. Shirai
Organizer
SLOPOS2013
Place of Presentation
Munich, Germany
Year and Date
20130915-20130920
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