2013 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンループ構造変換による組織特異的Shh発現制御システム
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24247002
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
城石 俊彦 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (90171058)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 染色体高次構造 / エンハンサー / 発生生物学 / シス制御配列の進化 / Shh / マウス |
Research Abstract |
CTCFのChIP-Seqの結果により、マウス肢芽のCTCF結合パターンを明らかにしている。これをもとに、肢芽エンハンサーとShh翻訳領域周辺に存在する4つのCTCF結合サイトをCRISPR/Cas9系を用いて破壊した。現在この4系統の表現型・発現解析が進行中である。 また、国際ノックアウトコンソーシアムより、Cohesinの複合体形成に必須のESCO2が条件的にノックアウトされたES細胞を入手し、KOマウスを作製した。この系統は、肢芽特異的Creマウスとの交配を進めており、表現型解析を行う予定である。また、Cohesinの輸送に関わるMau2に関して、条件的KOアリルを有するES細胞を樹立した。これらの解析は、CTCF・Cohesinが染色体高次構造を介した遺伝子発現制御をどのように行うのか理解するうえで非常に重要である。 喉頭・肺で機能するMACS1の形態進化への寄与を明らかにするため、魚類での進化的保存性を追跡した。シーラカンス・ガンギエイ・ガーパイクからMACS1オーソログを同定し、マウス胚を用いたレポータートランスジェニック法で発現解析を行った。これらの比較から肺呼吸の必要な陸生動物間にはMACS1の高度な保存性が認められるが、肺の代わりに鰾を有する硬骨魚類は、MACS1の保存配列を失い、新たな内胚葉エンハンサーを進化させたことがわかった。 Shh遺伝子座の上流100 kbの領域に 新規消化管エンハンサーであるSLGEを同定し、国際誌に報告した。SLGEとMACS1は発現制御領域の多くを共有しており、遺伝子発現調節の機能的重層化を考える良いモデルとなる。現在、SLGEのKOマウスを作製し、MACS1とSLGEの機能比較を行っている。また、歯芽での機能的重複が確認されているMRCS1とMFCS4に関してダブルKOマウスを作製し、マイクロCTを用いた歯の表現型解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRISPR/Cas9系による遺伝子領域のターゲティング技術を確立させることができ、マウス受精卵を用いて複数のKOマウスラインを樹立した。特にCTCF結合領域に関しては、対象とする4か所についてすでにKOアリルの作製に成功している。MFCS1肢芽エンハンサーを挟むCTCF結合領域を破壊したマウス系統は、すでにホモ個体を得ており、骨格パターンの解析を行っている。Shh遺伝子周辺の2か所のCTCF結合領域についてもそれぞれヘテロ個体が作製済みで、ホモ化を進めている。 CTCF・ESCO2の条件的KOマウスの組織特異的な機能の解析を行うため、肢芽特異的Creマウスに加えて、軟骨特異的なCol2-Creマウスと肺・消化管特異的なSLGE-Creマウスを作製した。これらのCreラインとCTCF・ESCO2の条件的KOマウスとの交配を進めており、発生過程における形態の表現型解析を行う予定である。Mau2をKOしたES細胞は、すでにスクリーニングを経て、アグリゲーションによるキメラマウス作製が進行中であり、順調である。 MRCS1シングルKOマウス、MRCS1・MFCS4ダブルKOマウス並びにMRCS1とMFCS4の各エンハンサーとShh遺伝子KOのコンパウンドヘテロマウスに関して、歯のマイクロCT解析が終了している。特にコンパウンドヘテロマウスでは、高頻度の過剰歯形成を確認している。 複数の軟骨・硬骨魚類試料から、ゲノムDNAを調製した。シーラカンスなど全ゲノムデータが公開されているものに関しては、PCRによりマウスMACS1のオーソログをクローニングすることができた。ガンギエイなどのゲノム情報が十分明らかにされていない種についてもインバースPCRを利用して、相同配列を得ることができており、魚類のMACS1の同定は順調に行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
CTCFのChIP-Seqの結果により、マウス肢芽のCTCF結合パターンを明らかにしている。これをもとに、肢芽エンハンサーとShh翻訳領域周辺に存在する4つのCTCF結合サイトをCRISPR/Cas9系を用いて破壊した。現在この4系統の表現型・発現解析が進行中である。 また、国際ノックアウトコンソーシアムより、Cohesinの複合体形成に必須のESCO2が条件的にノックアウトされたES細胞を入手し、KOマウスを作製した。この系統は、肢芽特異的Creマウスとの交配を進めており、表現型解析を行う予定である。また、Cohesinの輸送に関わるMau2に関して、条件的KOアリルを有するES細胞を樹立した。これらの解析は、CTCF・Cohesinが染色体高次構造を介した遺伝子発現制御をどのように行うのか理解するうえで非常に重要である。 喉頭・肺で機能するMACS1の形態進化への寄与を明らかにするため、魚類での進化的保存性を追跡した。シーラカンス・ガンギエイ・ガーパイクからMACS1オーソログを同定し、マウス胚を用いたレポータートランスジェニック法で発現解析を行った。これらの比較から肺呼吸の必要な陸生動物間にはMACS1の高度な保存性が認められるが、肺の代わりに鰾を有する硬骨魚類は、MACS1の保存配列を失い、新たな内胚葉エンハンサーを進化させたことがわかった。 Shh遺伝子座の上流100 kbの領域に 新規消化管エンハンサーであるSLGEを同定し、国際誌に報告した。SLGEとMACS1は発現制御領域の多くを共有しており、遺伝子発現調節の機能的重層化を考える良いモデルとなる。現在、SLGEのKOマウスを作製し、MACS1とSLGEの機能比較を行っている。また、歯芽での機能的重複が確認されているMRCS1とMFCS4に関してダブルKOマウスを作製し、マイクロCTを用いた歯の表現型解析を行った。
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Research Products
(4 results)