2012 Fiscal Year Annual Research Report
花成遺伝子の多型による開花期の地域適応と種分化機構の解明
Project/Area Number |
24247013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸口 浩彰 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (70206647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 正代司 基礎生物学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30260508)
池田 啓 岡山大学, その他部局等, 助教 (70580405)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 種分化 / 開花 / ミヤコグサ / フィトクロム / 概日時計遺伝子 / 緯度 / マメ科 |
Research Abstract |
マメ科のモデル植物であるミヤコグサLotus japonicusは、日本で沖縄県宮古島から北海道最北部にまで、緯度にして20度を超える範囲にわたっており、産地毎に開花時期がずれていることによって、交配する機会を失った「種内分化」が進行していることがこれまでに示唆されている。植物が開花する過程には3つのステップがあり(光受容体系、概日時計系、花芽形成系)、それぞれに複数の遺伝子が関与していることが知られている。本年度は、日本国内の北海道から宮古島までの10地点に由来するミヤコグサを用いて、光受容体遺伝子群PhytochromeA, B, E, ならびにCryptochrome1と2, 概日時計遺伝子E1の塩基配列を合計15,121bpにわたって解析した。その結果、PHYAで塩基置換6(エキソン/イントロン:5/1), PHYBでは6(4/2)、PHYEでは3(3/0)が見つかった。E1では5塩基置換すべてが非同義置換であった。非同義的置換をPHYの翻訳領域にマップした結果、大部分が光受容体機能を担当しているN-末端側の領域に位置した。一方、CRY1とCRY2では塩基置換が0であった。以上のことから、ミヤコグサのPHY遺伝子、及びE1は、自然集団でStanding Genetic Variationとして遺伝子多型が維持されてきたと考えられる。それに対してCRYは変異を抑制する浄化選択が作用していることが示唆された。また、これまでミヤコグサで存在とゲノム上の位置が不明であった概日時計遺伝子:GIGANTEAについて、ゲノム上の位置が第5染色体上の(非公開)にあることを明らかにした。今後はE1を含めた花成関与遺伝子の発現量を早咲き(南)-遅咲き(北)間で比較解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始直前の段階で、研究材料のミヤコグサにダニが大量発生してしまったために、全てのサンプルを廃棄して、もう一度、播種から育成をやり直すことになってしまった。そのために、研究概要の最後に書いてある「各遺伝子の発現量」を定量PCRで測定する実験が、今年度にずれ込んでしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子発現の実験については、対象とする遺伝子をシロイヌナズナで研究経験が豊富な名古屋大学農学研究科 水野猛教授と山篠貴史助教とともに共同で推進することによって、速やかに研究成果を出していくことにした。とくに、概日時計型のE1とGI、ならびに花芽形成遺伝子のFlowering Locus Ta (FTa)を対象にして、発現量の日周変化と発言量の差異を、日本各地の野生系統の間で比較する計画である。共同研究者の川口正代司教授は、開花期が大きく異なる北海道と沖縄の株を交配させた組み替え自殖系統(RIL)を作成中であり、今後には次世代シーケンサーも併用した解析を進める。これまで別のRILを用いて解析した結果では、1番染色体の特定の部位に、開花時期に関わるSNPが集中しており、その中には3種類のCDSが特定された。そこで本年度は、これらのCDSの機能と変異体が開花時期に及ぼす影響についても検討する計画である。もう一名の共同研究者の池田啓助教は、研究材料の採集をさらに進めるとともに、遺伝子多型の集団遺伝学的モデル計算を行う。昨年度に問題であった害虫の防除は、人工気象器を3台体制にするとともに、密閉された室内で育成をすることによって解決できたと考えている。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Intraspecific karyotypic polymorphism is highly concordant with allozyme variation in Lysimachia mauritiana (Primulaceae: Myrsinoideae) in Taiwan: implications for the colonization history and dispersal patterns of coastal plants.2012
Author(s)
Kono, Y., Chung, K.F., Chen, C.H., Hoshi, Y., Setoguchi, H., Chou, C.H., Oginuma, K., Peng, C.I.
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Journal Title
Annals of Botany
Volume: 110
Pages: 1119-1135
DOI
Peer Reviewed
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