2013 Fiscal Year Annual Research Report
イネ属AAゲノム種の種分化におけるF1花粉不稔遺伝子の進化生物学的役割
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24248002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 淳 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00182816)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2017-03-31
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Keywords | イネ属 / AAゲノム種 / 種間雑種 / 花粉不稔 / 種分化 / 進化 |
Research Abstract |
本研究では、O. sativa/O. glumaepatula種間交雑において見出されたF1花粉不稔遺伝子(S遺伝子)S22A、S22B、S23、S27/S28について原因遺伝子/変異を特定し、多様性解析によりS遺伝子の分化と集団遺伝学的効果について解析する。 遺伝子単離については、S22Aを候補領域150kbに絞り込み、候補領域内の最有力候補の遺伝子については形質転換体を作成した。単離済みのS22Bについてウエスタンブロッティングを行ったところ、予測よりも短い断片が検出された。S22Bはミトコンドリア移行型タンパク質である事からプロセシングの結果と考えている。また、S22Bの原因変異を特定するため、日本型イネ台中65号(T65)とO. glumaepatulaのキメラ遺伝子のコンストラクトを作製し、形質転換体の作出に着手した。 AAゲノム種のアフリカ/南アメリカ種群におけるSアリルの分化と多様性について調査する材料育成のため、遺伝研コアコレクションにT65による戻し交雑を進め、O. glumaepatula(南アメリカ), O. barthii(アフリカ)についてはBC1F1, BC2F1種子、O. longistaminata(アフリカ)についてはBC3F1種子を作出した。 副次的な成果として、アフリカの栽培イネO. glaberrimaにて同定されたS1, S19, S20, S21の4遺伝子をT65遺伝的背景に集積した系統を育成した。通常O. glaberrima系統IRGC104038とT65の交雑F1は花粉完全不稔を示すが、集積系統をIRGC104038に交雑したF1は花粉稔性が9.6%まで回復しており、F1花粉不稔緩和の効果があった。この集積系統は生殖的隔離を打破できる系統であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S22Aの高精度連鎖解析を行い、最有力候補の遺伝子に関しては形質転換体を作成できた。S22Bのキメラ遺伝子コンストラクトの作製ができ、順次形質転換に移行し、再分化個体が得られているので、原因変異の候補探索が進展する事が期待される。AAゲノム種コアコレクションの多様性解析用の材料育成に関しても、順調に進んでいる。コアコレクションの配列解析についても、国際イネ研究所や遺伝学研究所から材料を入手し、DNA抽出、配列解析などに移行できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
S22Aの単離については、作出した形質転換体の評価を行う。S22Bの多様性解析を進めるため、AAゲノム種コアコレクションの配列解読を行う。S22Bの発現解析および細胞内プロセッシングの結果をまとめた後、論文報告をする。S23の高精度連鎖解析をより詳細に行い、候補領域をさらに絞り込み、遺伝子単離を進める。植物材料に関しては、戻し交雑をさらに進め、各コアコレクションにおけるアリルの機能について評価を行う。
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Research Products
(6 results)