2014 Fiscal Year Annual Research Report
イネ属AAゲノム種の種分化におけるF1花粉不稔遺伝子の進化生物学的役割
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24248002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 淳 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00182816)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2017-03-31
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Keywords | イネ属 / AAゲノム種 / 種間雑種 / 花粉不稔 / 種分化 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、O. sativa/O. glumaepatula種間交雑において見出されたF1花粉不稔遺伝子(S遺伝子)S22A、S22B、S23、S27、S28について原因遺伝子/変異を特定し、多様性解析によりS遺伝子の分化と集団遺伝学的効果について解析を行う。 遺伝子単離については、S22Aの候補領域150 kbに見られた最有力候補の遺伝子について、日本晴由来のゲノム断片を不稔個体に導入したT0個体の表現型およびT1個体の遺伝子型頻度を解析したところ、S22Aの花粉不稔を相補することができ、遺伝子単離に成功した。S22Bの原因変異については、コード領域について2つのSNPまで絞り込んでいたが、1つについて形質転換体T0個体を十数個体作成し、2015年3月現在で出穂待ちの状態である。AAゲノム種のアフリカ/南アメリカ種群におけるS遺伝子の分化(アリルマイニング)と多様性解析を行う材料として、O. barhii、O. glumaepatulaについては遺伝研コアコレクションrank1とrank2、O. longistaminataについてはrank1についてBC3F1種子を作成した。 S22AおよびS22Bについて、AAゲノム種種群のコアコレクションについて配列解析に着手した。 投稿論文については、S22AおよびS22Bの遺伝子同定の論文をBreeding Science誌に投稿し、出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S22Aの遺伝子単離を終了することができた。S22Bの原因変異の絞り込みについても順調に進んでいる。S22Bの遺伝子単離に関する論文に必要なデータはすべて出そろい、論文原稿を投稿できる準備が整った。今後研究を推進するS23の遺伝子単離についても準備状況を整えることができている。アリルマイニングに必要な材料群(BC3F1集団)を全てそろえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
T65/O. glumaepatula(Acc. IRGC105668)交雑において、これまで見出されているF1花粉不稔遺伝子S22A、S22B、S23、S27、S28について遺伝子単離が終了していないものはS23のみとなった。S23については高精度連鎖解析、BACクローン解読が終了しており、現在相補性検定を進めているが、さらに重点的に進める。単離が終了したS22Aに関しては機能解析を進める。S22A領域にはパラログが3つ存在し、二つが機能型であると考えられるが、O. glumaepatulaにおいてはゲノム再編成が見られ、パラログの個数と対応関係が不明であるため、BACクローン解読により構造を明らかにする。S22Bの原因変異の特定については、形質転換体T0およびT1の解析を進める。アフリカ種/南アメリカ種の遺伝研コアコレクション系統のBC3F1集団については、各S遺伝子座のNILを作成し、S遺伝子座の機能と配列の相関解析(アリルマイニング)に着手する。
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Research Products
(2 results)