2013 Fiscal Year Annual Research Report
非破壊水分状態計測とメタボローム解析の融合による水稲多収の細胞生理要因の解明
Project/Area Number |
24248005
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
森田 敏 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター水田作・園芸研究領域, 上席研究員 (40391453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野並 浩 愛媛大学, 農学部, 教授 (00211467)
和田 博史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター水田作・園芸研究領域, 主任研究員 (40533146)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 食用作物 / デンプン代謝 / NSC / 質量分析 / 細胞生理 |
Research Abstract |
成長中の植物細胞を対象にプレッシャープローブを用いて非破壊で代謝産物を測定する手法を改良し,プレッシャープローブで採取した細胞溶液をイオン化してオービトラップ質量分析計で分析する際に,溶媒にイオン溶液を用いることで高解像度に検出できることが新たに見出された. また,圃場で生育したモミロマン(日印中間型水稲品種)と北陸193号(インド型水稲品種)の比較試験から,モミロマンの稈・葉鞘では出穂後も長期間に渡って茎がシンクとして機能することで子実への炭水化物の分配が遅れ,登熟不良が引き起こされることが推察された. さらに,穂培養試験の結果から,モミロマンの弱勢穎果であっても糖が供与されれば,北陸193号に匹敵するレベルで成長することが示唆され,この点でも上記の推察が支持された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プレッシャープローブで採取した細胞溶液のメタボローム解析手法をモデル植物で確立したほか,日本型多収水稲での減収要因に関して,茎に蓄積するNSCの動態が密接に関わっていることが,ポット・圃場試験において安定同位体を使用した動的なメタボローム解析結果から実証されており,計画に対しておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
過去2か年の日本型(日印中間型)多収水稲「モミロマン」とインド型多収品種「北陸193号」との比較試験から,日本型多収品種の減収要因は,主として弱勢穎果における玄米成長阻害により登熟歩合が低下したことによると考えられた.この要因としては,稈・葉鞘への非構造性炭水化物の蓄積・分配のタイミングの違いが起因していることが安定同位体を用いたメタボローム解析から強く示唆されている.このため,平成26年度は茎内のNSCの動態に注目し,茎の水分状態と炭水化物代謝の経時的な変化を解析し,品種間差異を明らかにすることで機構解明につなげたい.
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