2013 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ脳の情報処理を制御する遺伝子群の単離と分子機構の解析
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24248011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 透 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20202111)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 光周反応 / 配偶行動 / 営繭行動 / 産卵行動 / 脳機能 / 連鎖解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳における情報処理を制御する遺伝子群の単離と分子機構の解明を目的にし、以下(1)~(3)のそれぞれの形質を支配する遺伝子を探索している。 (1)カイコおよび野蚕の環境応答遺伝子の解析: 伴性晩成(Lm)は、カイコの化性と光周反応を支配する最上位の遺伝子であり、複数の対立遺伝子が異なる光周反応を決定している。先行研究から、Lmは脳で働く遺伝子と考えられている。今年度は、コンジェニック系統を利用してLm形質の候補遺伝子を絞り込んだ。また、カイコ以外に、柞蚕の光周反応である蛹休眠に着目し、休眠に伴う遺伝子発現の変動をRNA-seqで解析した。 (2)営繭行動を支配する遺伝子の解析: 繭の形態が異常となる「浮きちぢら」(Fl)および「胴切」の遺伝分析を進めた。Flは繭の構造が緩んだ綿のような繭を作る変異体、胴切は繭の胴部(中央部分)のくびれが著しく、そこの繭層が薄いために中の蛹が見えてしまう変異体であり、いずれも営繭時の幼虫の行動の異常によって生ずる形質であり、脳によって支配されると考えられる。交配実験により、これら繭形形質を支配する遺伝子の所属染色体を解析した。 (3)カイコの産卵行動の変異体の解析: xu20は、正常なカイコに見られない交尾前産卵が起きる変異体である。連鎖解析により、この形質を支配する遺伝子を第10染色体のある領域の狭めることができた。また、遺伝的モザイク(mo)遺伝子を用いて、xu20遺伝子の作用についてクローン解析を実施した結果、この遺伝子のfocusは脳ではなく腹部にあると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光周反応、営繭行動、および産卵行動、これら脳が支配する行動形質を支配する遺伝子の解明へ向けて、研究が順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
光周反応、営繭行動、および産卵行動、これら脳が支配する行動形質を支配する遺伝子の解明へ向けて、ポジショナルクローニングによる遺伝子の単離を急ぐほか、次世代シークエンサーを用いたRNA-seqや神経科学的な解析を含めて総合的なアプローチを試みる。
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