2012 Fiscal Year Annual Research Report
山岳氷河の掘削試料から得られた樹木花粉のDNA分析による古森林遺伝学的研究
Project/Area Number |
24248025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陶山 佳久 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60282315)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 古代DNA / 分子系統地理 / アイスコア / 針葉樹 / 花粉分析 |
Research Abstract |
山岳氷河から得られた掘削雪氷試料中の古代花粉のDNA分析によって、過去に分布した樹木の遺伝的情報を直接取得し、樹木個体群の分布変遷史を時空間的に明らかにする研究の基礎技術開発に取り組んだ。 分析用試料として、ベルーハ氷河(アルタイ山脈・ロシア)のアイスコアから得られたマツ属の花粉を用い、花粉1粒ずつのDNA分析による節レベルでの同定を行った。すなわち、掘削雪氷試料中の古代花粉1粒ずつから約150BPの葉緑体DNA断片を増幅して塩基配列情報を取得し、その配列を既存のデータベースと比較した。その結果、得られた配列はマツ属のQuinquefoliae節であると判定され、節レベルでの識別まで可能なことが示された。これらの成果をとりまとめて学術雑誌Environmental Research Lettersに投稿し、受理された。また、パーソナル次世代シーケンサーによる花粉DNAの網羅的解読手法の開発に着手した。 関連した技術開発に関する研究成果として、分析用試料としてスカンジナビア中部の湖底堆積物を用い、その花粉分析(花粉の外部形態によって分類群を識別する分析)とメタ・バーコーディング解析(汎用性のあるPCRプライマーを用いて堆積物等から抽出したDNAをテンプレートとしたPCR増幅を行い、その配列によって分類群を推定する方法)結果の比較を行った。これらの成果をとりまとめて学術雑誌Molecular Ecologyに投稿し、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はパーソナル次世代シーケンサーによる花粉DNAの解析手法を開発する予定であったが、当該機器の導入時期が遅くなり、年度末にこの作業に着手するにとどまった。当該機器の導入時期が遅くなった理由は、急速な技術開発の進展にともない、価格の変動や性能の向上があり、当初の研究計画を見直す必要が出たためである。つまり、当初とは異なる機種を導入したほうが、本研究の目的に合致していると判断され、期間限定のキャンペーンによってより安価な価格設定になる時期を待って購入することとなった。当該機器導入までは、この機器を用いない手法での技術開発を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに開発済みの花粉一粒DNA 分析法をベースとし、全ゲノム増幅およびパーソナル次世代シーケンサーによるDNA 断片の網羅的解読手法の確立を行う。万が一、この方法によって十分な遺伝情報が得られない場合は、すでに開発済みである花粉一粒DNA 分析法を用い、多領域同時増幅(マルチプレックスPCR)によってより多くのDNA 塩基配列データを取得する。
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Research Products
(6 results)