2012 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞発育調節カスケードの最上流因子の同定とその発現調節によるOPU高度化技術開発
Project/Area Number |
24248047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 英明 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80093243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 由美 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10451551)
種村 健太郎 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20332322)
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Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2016-03-31
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Keywords | 卵胞発育 / 卵胞発育調節因子 / 血管増殖 / グリコサミノグリカン / OPU |
Research Abstract |
生体卵巣から性周期ごとに繰り返し卵母細胞を採取するOPU(Ovum Pick Up, 超音波誘導経膣採卵法)技術と卵母細胞の体外成熟・体外受精・体外培養(in vitro maturation, fertilization and culture,IVMFC)技術のドッキングにより高能力メス牛を高度に活用できる。OPUをさらに有効な技術にするには、優良雌個体における卵母細胞生産能を高める技術開発が必要である。申請者は卵巣から新しい3つの因子(FSH抑制因子、卵母細胞生存促進因子、血管増殖因子活性増強因子)を分離し、卵胞発育調節機構の概要を明らかにしている。卵母細胞生存促進因子と血管増殖因子活性増強因子はともにグリコサミノグリカンで分子性状は同一である。卵巣から分離したことでovarian glycosaminoglycans(oGAGs)と名付けたが、このoGAGsの産生調節の最上流因子を同定し、その利用方法を工夫することによって一個体から多数の優良卵母細胞を獲得することができると予想される。 本研究においてoGAGsはヒアルロン酸様因子と同定されたが、ヒアルロン酸の産生様式を解析し、卵丘細胞ではヒアルロン酸産生酵素2(has2)、卵母細胞ではヒアルロン酸産生酵素3(has3)が発現し、ヒアルロン酸の産生を制御していることを明らかにした。卵胞刺激ホルモン(FSH)によってhas2の発現が誘導されることを明らかにしたが、卵母細胞を除去した卵丘細胞・卵母細胞複合体では、FSHのhas2発現誘導は観察されなかった。Has2の発現にはhas3あるいは卵母細胞の産生するhas2発現調節因子、あるいはヒアルロン酸産生カスケードの調節因子が関与すると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究においてoGAGsはヒアルロン酸様因子であることを明にしたがヒアルロン酸の産生様式を解析し、卵丘細胞ではヒアルロン酸産生酵素2(has2)、卵母細胞ではヒアルロン酸産生酵素3(has3)が発現し、ヒアルロン酸の産生を制御していることを明らかにした。一方、卵胞刺激ホルモン(FSH)によってhas2の発現が誘導されることを明らかにしたが、卵母細胞を除去した卵丘細胞・卵母細胞複合体ではFSHのhas2発現誘導は観察されなかった。卵母細胞の発現するHas2の発現にはhas3あるいは卵母細胞の産生するhas2発現調節因子、あるいはヒアルロン酸産生カスケードの調節因子が関与すると推察された。
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Strategy for Future Research Activity |
卵胞刺激ホルモン(FSH)によってhas2の発現が誘導されるが、卵母細胞を除去した卵丘細胞・卵母細胞複合体では、卵母細胞を破壊すると、FSHのhas2発現誘導は観察されない。Has2の発現にはhas3あるいは卵母細胞の産生するhas2発現調節因子、あるいはhas2遺伝子の転写、翻訳、ヒアルロン酸の分泌、卵胞膜及び顆粒膜への蓄積に係わる因子が重要な役割を果たしていると推察される。来年度以降の研究費はこのような実験を推進する化学薬品、プラスチック類の購入に使用する計画である。
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