2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24249008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 章 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80155952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 基旭 東北大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (00344680)
高橋 勉 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00400474)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メチル水銀 / ユビキチン / プロテアソーム / 感受性決定因子 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
我々はメチル水銀毒性の発現に影響を与える蛋白質としてユビキチン・プロテアソーム(UP)システム関連因子を同定している。本年度はまず、発現抑制によってヒト神経系由来細胞にメチル水銀耐性を与えるUPシステム関連因子を検索した。その結果、ユビキチン転移酵素4種(UBE2N、UBE2Q1、UBE2I、UBE2J2)、ユビキチンリガーゼ4種(LMO7、FBXW11、CDC23、BRIC6)、および脱ユビキチン化酵素10種(CYLD、USP33、USP35他)を新たに同定することができた。一方、UPシステムの基質蛋白質であり、かつ、高発現によって培養細胞にメチル水銀耐性を与える因子として、ピルビン酸合成関連酵素に加えてPTEN(PI3K/AKT経路を負に制御する脂質ホスファターゼ)およびODC (ornithine decarboxylase)を見出した。メチル水銀はプロテアソーム非依存的にPTENレベルを減少させ、この現象がメチル水銀が引き起こすPTENの不溶性化促進によることが判明し、さらに、この際にAKTのThr308リン酸化の亢進が観察されるという興味深い知見が得られた。同様に高発現が細胞にメチル水銀耐性を与えるODCは、その活性が合成誘導非依存的にメチル水銀処理によって上昇することが明らかとなり、ODCがメチル水銀曝露に応答して稼働する生体防御因子の1つである可能性が示唆された。また、メチル水銀はミトコンドリア内へのピルビン酸の取り込みを促進させることによって自身の毒性を増強していると考えられるが、この作用がsiRNAを用いた電子伝達系複合体IまたはIIIの活性抑制によって有意に軽減されること、さらに、メチル水銀によるカスパーゼ3の活性化がピルビン酸の添加によって増強されることが判明し、ピルビン酸がメチル水銀によるミトコンドリア機能障害を促進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、細胞のメチル水銀感受性に影響を与えるUPシステム関連因子を多数同定することができた。また、UPシステムによって分解され、かつ、高発現によって培養細胞にメチル水銀耐性を与える因子として、PTENおよびODCを見出したことは、UPシステムとメチル水銀毒性との関係を検討する上で有用な研究対象を得たことになる。したがって、本研究は計画に従って、「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究内容をさらに発展させて、以下のように、それぞれの因子の作用機構解明を目指して行く予定である。 1. メチル水銀毒性を増強または軽減する蛋白質のユビキチン化反応に関わる酵素群の分子種の特定およびUPシステムによる分解調節機構の分子レベルでの解明:これまでに同定した各因子間の関係について検討する。 2. UPシステムによって分解が促進され、かつ、メチル水銀毒性に影響を与える蛋白質の作用機構解析:PTENおよびODCについて、その作用機構を検討する。 3. UPシステム以外の機構に関与し、メチル水銀毒性に影響を与える蛋白質の作用機構解明:本年度は検討を行わなかったが、来年度は転写因子NFκBなお、いくつかの蛋白質について検討を続ける
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Research Products
(17 results)