2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシンによる性分化抑制:エピジェネティック制御とメタボロームへの障害と機構
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24249009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 英之 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40142351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姫野 勝 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (50037602)
山本 緑 長崎国際大学, 薬学部, 助教 (00336075)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ダイオキシン / 性未成熟 / ゴナドトロピン / 性ステロイド / インプリンティング |
Research Abstract |
ダイオキシン類が生物の生殖に無視できない影響を与える可能性は永年にわたって危惧されてきた。しかし、ホルモン作用の亢進や抑制がどのような障害にどのように直結するかは、多くが未解決のままである。本研究は、周産期(出産前後の短期間)に児の脳下垂体ゴナドトロピンが一過性に低下することがダイオキシン後世代障害の起点であり、これが性ステロイドホルモン抑制を介して性特異的形質の未分化・未成熟をインプリンティントするとの独自の学説の実証と機構解析を目的として実施した。同時に申請していた基盤研究(S)の採択に伴い、規則に従って本研究は開始早々ではあったが辞退した。短期間ではあったが、下記の成果や進展がみられたので報告する。胎児ゴナドトロピン低下には、視床下部のトリカルボン酸サイクル(TCA)の停滞が寄与する可能性を見いだしていた。これには、TCAサイクルの回転に必要なリボ酸の低下が寄与することも推定していた。そこで、障害の要因としてのリボ酸低下の寄与の程度を推定するため、TCAサイクル機能に必要な他の補酵素の変動の役割について検討した。その結果、チアミンはこれをダイオキシン曝露胎児に補給しても、性ステロイド低下を改善できなかった。この事実から、ダイオキシンは胎児視床下部エネルギー生産をリボ酸合成を特異的標的とした機構で障害することが示唆された。ダイオキシンは周産期の一過性の性ステロイド抑制を介して成長後の交尾行動等を抑制する。これは、周産期のダイオキシン曝露によって、成長後にまで継続する遺伝子変動が惹起されるためと考えられる。しかし、どの遺伝子発現が変化するかは不明であった。これに関し、マイクロアレイ解析を実施し、多数の変動を見い出し、その中に交尾行動に必須なゴナドトロピン遊離促進ホルモンの水準低下を発見した。
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Research Products
(1 results)