2012 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位存在下におけるイオンチャネルの機能と構造変化の1分子同時計測
Project/Area Number |
24249013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
清水 啓史 福井大学, 医学部, 講師 (50324158)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1分子計測(SMD) / 生理学 / 蛋白質 / X線 |
Research Abstract |
本研究では、1分子電流と1分子構造変化の同時計測システムを日本国内で構築することを目指す。国内の大型放射光施設(SPring8)に白色X線集光ミラーシステム、X線スペクトル計測システムを導入することで、1分子電流計測と同等の観測速度で1分子構造変化計測を行うことを実現する。また、1分子電流と構造変化の同時計測システムの開発を行い、同時計測の実現を目指す。 上記目的を達するため、次の3つの課題に取り組んだ。1.SPring8 BL28B2ビームラインに白色X線集光ミラー、およびX線スペクトル計測システム を導入し、X線スペクトルをX線1分子計測法に最適化する。2.1分子電流と構造変化の同時計測システム開発を行う。3.温度管理システムの導入により、観測サンプルの温度管理を厳密に行う。 1.については高エネルギー領域を集光することが可能なX線集光ミラー、およびミラー調整機構の仕様を決定するとともに定量性のあるX線スペクトル計測システムの仕様を決定し、導入した。SPring8での本格的な利用を平成25年5月より予定している。2.については同時計測システムにとって重要であるノイズの少ない観測チャンバー素材、流路形成素材の検討を行い、従来予定していた素材に比べて大幅にノイズレベルを下げることに成功した。3.については導入した2次元温度カメラを導入し、計測中にX線照射部位のサンプル温度の変化を計測・評価するシステムの導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように予定していた課題について大変順調に進展している。特に課題の成否の鍵となる高エネルギー領域のX線集光ミラーシステムをビームラインの制約に合わせて設計・導入することに成功した点はよい成果であった。また、新たな観測チャンバー素材の検討により、観測精度の向上が見込まれる低ノイズ素材で加工しやすい素材を発見したことは同時計測システムの実現に向けて大きな飛躍となった。さらに、マイクロメートルオーダーX線照射領域の温度計測が観測中に可能になったことで、X線1分子計測法における運動計測が定量的に実施できる基盤が確立した。上記の理由により、本研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に導入したX線集光システム、および観測システムを用いて実験し、蛋白質への照射損傷が小さく、また運動を追跡できる空間範囲の広い最適なX線スペクトルを確定する。また、新規素材を用いた観測チャンバー開発を進める。本計測ではレーザー光を用いて蛋白質の構造変化にトリガーをかけることが可能であるが、導入した温度計測システムを用いて温度変化の少ないX線・レーザー照射条件を探索し決定する。
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