2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24249033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮田 敏男 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10222332)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬理学 / 生理活性 / 生体分子 |
Research Abstract |
本研究は、現行で治療法がないか、多量の副腎皮質ステロイド療法しかないといった希少難治性炎症疾患群に対して、有効で安全な治療薬としてPAI-1阻害薬を提供することを目的としている。 今年度は、Thy1腎炎ラットモデルにおいて、PAI-1阻害薬を経口投与することにより、腎糸球体に対する炎症性マクロファージの浸潤を抑制できることを明らかにした。また、腎臓における微小血栓形成や上皮細胞傷害を寛解するなど、抗炎症効果と抗血栓効果の両面でその病態の改善に効果を発揮することが明らかとなった。In vitroマクロファージ遊走阻害実験や、変異体PAI-1を用いた分子生物学的解析によって、炎症部位で発現が上昇したPAI-1そのものがマクロファージに対する遊走因子として働いていることを見出した。また、PAI-1の遊走因子としての作用が発揮される分子薬理学的メカニズムを解明し、難治性腎炎に対する治療効果を明らかにすることが出来た。以上の知見はArteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biologyに発表した。また、骨髄再生時のPAI-1阻害薬投与により、造血幹細胞の増殖分化が促進されることを発見した。致死量の放射線照射後、造血幹細胞移植したマウスにおいて、PAI-1阻害薬が血球再生を促進することを見出して、新たな臨床的有用性に繋がる有益な知見を得た。その他複数の希少難治性炎症疾患モデルに対してPAI-1阻害薬の薬効の有無を探索した結果、マウス鼻アレルギーモデルにおいても病態の寛解効果並びに免疫細胞浸潤阻止効果を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
期初の計画の通り、複数の希少難治性炎症疾患モデルに対してPAI-1阻害薬を投与し、腎炎モデル及びアレルギーモデルにおいて薬効を確認することができた。また、薬効についての分子薬理学的メカニズムを明らかにし、論文を発表することが出来た。さらに、骨髄再生におけるPAI-1阻害薬の有用性を見出したことで、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との対面助言の結果、H25年度から医師主導治験(第I相試験)に入ることが承認されたため、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
効果が認められた腎炎モデルについて、PAI-1阻害薬の薬効発揮における分子薬理学的メカニズムをより追求する研究を進める。ヒトでの希少難治性腎炎への応用の可能性を探索し、臨床開発候補5化合物から対象とする希少難治性腎炎に最も適した化合物を選択する。骨髄再生時のPAI-1阻害薬による造血促進作用については、白血病治療における臍帯血や末梢幹細胞移植時の造血再生促進の可能性と臨床応用をさらに追及する。また、神経系炎症性疾患についても検討を進める。
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