2012 Fiscal Year Annual Research Report
FSTL3ーActivin系による肥満糖尿病の病態調節機構の解明と治療への応用
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24249053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植木 浩二郎 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (00396714)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
非糖尿病でBMI18~35に分布するヒト皮下脂肪組織および内臓脂肪サンプルを形成外科・大腸・肛門外科との連携により採取し(研究課題名:脂肪組織を用いた生活習慣病関連遺伝子の同定、医学部倫理委員会承認番号951)、cDNAマイクロアレイにより網羅的に発現解析を行い、シグナルペプチドを持つ分子で肥満で最も早期から変化し、インスリン抵抗性などのパラメーターと相関する分子として、FSTL3およびHtra1を同定した。高度肥満や糖尿病患者も含むドイツ人188名の皮下脂肪・内臓脂肪においてその発現を検討したところ、FSTL3はヒトでは皮下脂肪に比して内臓脂肪により多く発現しており、BMI・腹囲・インスリン抵抗性などと強く相関していた。大腸・肛門外科との連携において採取している内臓脂肪サンプルにおいても、同様の結果を得た。3T3L1細胞を用いた検討やマウス脂肪組織を脂肪細胞画分と非脂肪細胞画分などの検討で、FSTL3やHtra1は、脂肪細胞から分泌されるアディポカインであることが確認された。高脂肪食肥満マウス・db/dbマウスなどの肥満モデルでは、FSTL3が内臓脂肪組織・皮下脂肪組織双方に、Htra1は皮下脂肪組織で特にに発現が増加することを見いだした。アデノウイルスにより、野生型マウスにFSTL3を高発現させると、インスリン抵抗性をきたし、耐糖能が悪化した。また、肥満マウスに、FSTL3の中和抗体を投与すると、耐糖能が改善した。肥満マウスにHtra1の高発現させると、インスリン分泌の増加により耐糖能が改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの肥満初期から増加する因子FSTL3とHtra1が肥満動物モデルでも、肥満のごく初期から発現が増加するアディポカインであることを確認出来た。また、マウスにおいてこれらを高発現させると、それぞれ耐糖能の悪化と改善という病態への関与の証左が得られており、計画通りに進行している。また、FSTL3については、肥満マウスにおいて中和抗体でその作用を阻害すると耐糖能が改善するという成果も得ており、順調に研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、FSTL3については、結合分子として同定されているActivinの糖代謝に及ぼす作用を肥満動物モデルなどを用いて検討する。すでに、Activinが耐糖能を改善することを予備検討で得ているので、FSTL3がこの作用を阻害するかどうかを同時投与などの実験で確認する。また、Activinの血糖改善作用のメカニズムを、肝臓・脂肪組織・骨格筋などのインスリンシグナルの変化や、発現解析などで解明する。Htra1については、インスリン分泌促進のメカニズムを単離ランゲルハンス島や培養細胞を用いて、検討する。さらに、ActivinやHtra1の遺伝子改変マウスを入手し、これらの糖代謝についても検討を開始する。
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Research Products
(4 results)