2012 Fiscal Year Annual Research Report
統合的病態パスウェイ解析に基づく白血病の発症機構と治療基盤の確立
Project/Area Number |
24249055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 峰夫 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80312320)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NF-kB / Adiponectin / Evi1 / JAK2V617F |
Research Abstract |
われわれは以前、p53ノックアウト造血細胞にJAK2V617F変異を導入して移植すると白血病を発症することを見い出している。この白血病モデルにおいて、分化マーカー陰性cKit陽性Sca-1陽性の最も幼若な白血病細胞、および赤芽球系分化マーカーCD71陽性の白血病細胞が二次移植によって白血病を再構築できることを見出した。本モデルは骨髄増殖性腫瘍から白血病への進展の機構などを追究する上で有用なツールと考えられる。 われわれは、MLL融合遺伝子白血病モデルを用いて、白血病細胞のなかでも幹細胞に富む分画において、NF-kBシグナルが活性化されていること、このような機構が他の白血病モデルやヒト症例検体でも働いていることを示した。この機構の重要性を、in vivo白血病モデルにおいてボルテゾミブなどを用いたNF-kBシグナルの阻害がAML治療効果を認めることによって証明した。さらに、このシグナルの活性化には、自身が産生するTNFalphaによるポジティブフィードバックが重要であることを明らかにした(投稿中)。骨髄微小環境との相互作用は造血細胞の機能を規定する重要な因子である。われわれは、骨髄に存在する脂肪細胞の重要な液性因子であるアディポネクチン(Adipo)に注目し、そのノックアウトマウスを用いて造血系への作用を解析した。その結果、Adipoを欠く造血環境では、G-CSFや感染に対する顆粒球増殖応答が減弱すること、Adipo投与によりこの応答性が回復することを明らかにした。また、われわれは、Evi1高発現白血病では高頻度にC/EBPbが高発現していること、C/EBPbアイソフォームの一つだけがEvi1との協調により白血病発症を促進させることを報告した(Watanabe-Okochi N, et al. Blood in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白血病細胞の成立において協調的に働くシグナルのいくつかを同定したほか、白血病幹細胞において重要であるNF-Bシグナルが活性化される機構を明らかにした。また、条件的欠失マウスを用いた難治性白血病遺伝子BAALCの機能解析や、いくつかの白血病関連遺伝子の変異ノックインマウスの作製が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の体制に大きな変更はない。現在作製中の遺伝子変異ノックインマウスを利用して、さまざまな白血病遺伝子との組み合わせによって造血器腫瘍のマウスモデルを構築する。このモデルマウスを用いて治療標的となるようなシグナルを網羅的に探索して同定する。また、ヒト症例検体が利用しやすい研究環境である利点をいかして、ヒト症例検体のゲノム解析を推進し、治療抵抗性や病像の進展に関わるクローンの遺伝学的な特性を明らかにする。そのほか、現在進行中の白血病関連遺伝子の分子生物学的な機能解析や、造血環境側の因子と白血病細胞の相互作用の解析を引き続き進める。
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Research Products
(18 results)