2013 Fiscal Year Annual Research Report
水環境モニタリングからみる紅河流域都市の変容と持続可能性-ハノイを中心として-
Project/Area Number |
24251004
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
米澤 剛 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (90402825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
V. Raghavan 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (30291602)
三田村 宗樹 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00183632)
中屋 晴恵 (益田 晴恵) 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70183944)
吉田 大介 大阪市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (00555344)
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80183804)
升本 眞二 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40173760)
根本 達也 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (10572555)
柴山 守 京都大学, 地域研究統合情報センター, 研究員 (10162645)
谷口 真人 総合地球環境学研究所, 研究推進戦略センター, 教授 (80227222)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地下構造 / ハノイ(ベトナム) / 地すべり / 3次元モデル / ラオカイ(ベトナム) |
Research Abstract |
本研究2年目である今年度は、ベトナム北部を流れる紅河上流域のラオカイと中流域のハノイの2大都市において、水環境データのモニタリングに向けた機器の設置準備と都市変容・形成に関連するデータ収集・解析を並行しておこなった。 ラオカイにおける喫緊の都市問題の一つに地すべりがある。地すべりを引き起こす原因は、主に道路建設と農業のための土地改変であることが調査により明らかになった。本研究では、ラオカイとサパをつなぐ国道沿いのMong Sen地域の地すべりの変動観測をおこなうために、地すべり地における地下水位モニタリングと地形変動のレーザー測量をおこなった。地下水位モニタリング機器を設置するために実際にボーリングを行い、計測機器を設置しモニタリングの準備を完了した。また、地すべり地近くに気象ステーションを設置し、気温・湿度・気圧・降水量を常時モニタリングする準備も完了した。これらは来年度より試験期間を経て実際にモニタリングを開始する予定である。また、ラオカイの東部を流れる紅河の水質サンプリングをおこない、同位体分析もおこなった。 ハノイは生活用水の90%を地下水に依存している。このため近年、地下水汚染や地盤沈下などの水に関連した都市問題が増加している。本研究では地下構造の解明と地下水分布の把握を中心に研究を進めている。今年度は現地のベトナム・ハノイ鉱山地質大学の協力によりボーリングデータを入手し、すでに得られたボーリングデータと合わせてWeb-GIS機能を含めたデータベースシステムを構築している。ベトナムのボーリングデータに関しては統一的な表記がないため、日本の標準システムに導入できるようなシステム構築を現在調整中である。 また、両都市における基盤データの一つであるDEM(デジタル標高モデル)も航空写真から作成している。これらは様々な関連分野の基盤データになり得ることが期待されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の大きな成果として、本研究プロジェクトのコア研究である地すべり地の地下水位モニタリング機器の設置準備が完了したことがあげられる。現地のベトナム・ハノイ鉱山地質大学の協力を得て、実現することができた。また、今年度11月にはハノイ鉱山地質大学において、現地データを用いたリモートセンシングの基本利用とその活用に関するワークショップをおこなった。収集するさまざまな関連データの共有、活用においても現地のキャパシティビルディング構築についても貢献でき、今後の現地とのネットワークを密にすることもできたと考える。また、12月にはハノイ鉱山地質大学より現地カウンターパート研究者が来日し、今後のデータに関する取り扱いや今後のモニタリングデータの収集方法などの研究計画について協議することができた。また、研究対象地域であるラオカイとハノイの航空写真を収集することができた。これらを用いることで研究対象地域のデジタル地形データ(DEM)を作成することができ、関連する分野の基盤データとなるため、来年度以降の解析により研究進展が期待できる。これらの成果を考慮することで、本研究2年目としておおむね順調に進展していると考ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究3年目は、2年目で設置した水環境モニタリングデータと気象データの収集および解析を中心におこなうとともにこれまでに収集したデータの分析ならびに整理・管理をおこなう。ハノイにおいては、(1)ボーリングデータの収集およびそれらを用いた地下構造分析、(2)航空写真を用いた都市変容の解明、(3)地下水データの収集および分析を中心におこなう。ラオカイにおいては、(1)地すべり地の地下水データのモニタリングおよび変動分析、気象データモニタリング、(2)地すべりのレーザー測量を用いた地形変動分析、(3)航空写真を用いた地すべり地の抽出およびデジタル地形データ(DEM)作成、(4)航空写真とリモートセンシングを用いた土地利用分析を中心におこなう。また、2つの都市における収集データの整理と共有管理システムの構築を前年度に引き続きおこなう。 研究方法としては、現地のハノイ鉱山地質大学との連携協力体制を強化し、現地調査と研究協議をおこないながら研究を進める。また、年3回の全体会議(うち1回は現地協力者も含めた全体会議)と国内でのグループ研究会(3回)、ベトナムでのワークショップ(1回)および国際研究シンポジウムの共催を予定している。これまでに収集、分析したデータ等については、関連学会等で報告し、情報交換ならびに協議をおこない、研究者間の研究連携を図る。
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