2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24251013
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三宅 裕 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60261749)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
近藤 修 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40244347)
|
Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2017-03-31
|
Keywords | 初期定住集落 / 国際研究者交流 / トルコ / 生業 / 集落構造 / 長距離交易 / 埋葬儀礼 |
Research Abstract |
本研究の初年度に当たる平成24年度は、トルコ共和国南東部に位置するハッサンケイフ・ホユック遺跡において発掘調査を実施し、その調査によって出土した遺構や遺物の分析を基に、初期定住集落の実態の解明を進めた。発掘調査では多数の半地下式の遺構が検出され、その遺構の床下から数多くの埋葬が見つかった。こうした遺構を基に集落の構造を明らかにするとともに、出土人骨の分析を進め、人骨の安定同位体比分析を通じて当時の人々の食性分析を現在進めているところである。また、発掘調査から多数出土した打製石器については、専門の研究者を非常勤研究員として雇用し、分析を進めている。これまでのところ、石器の様相の違いからハッサンケイフ・ホユック遺跡には新石器時代に属す少なくとも2つの時期が存在することが明らかになっている。この他、石器の使用痕分析と黒曜石の原産地同定について、海外の研究者の協力を得て分析をおこなっている。大量に出土した動物骨については、研究分担者の本郷が分析を担当し、同定できた動物は全て野生動物であり、鳥や魚なども重要な食糧であったことが明らかになっている。 平成25年2月に研究分担者である近藤は、研究協力者2名とともに出土人骨が保管されているハジェテペ大学人類学教室において人骨資料の調査を実施し、年齢、性別、病歴の有無などを確認するとともに、彩色された人骨の分析をおこなった。この調査によって、彩色された人骨はかなりの数に上ることが明らかになり、当時の埋葬儀礼を知るうえで貴重さ資料になるものと期待される。 平成25年3月には、海外共同研究者であるバットマン大学の研究者を日本へ招聘し、これまでの調査成果を総括するとともに、今後の調査方針について協議をおこなった。平成25年3月には日本西アジア考古学会が主催する『西アジア発掘調査報告会』において平成24年度の調査の成果を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、南東アナトリアにおける初期の定住集落であるハッサンケイフ・ホユック遺跡の発掘調査を実施し、その調査によって検出された遺構・埋葬の分析、出土した石器、動物骨などの分析を進めることができた。特に、出土した打製石器の研究と人骨資料の分析は、当初の計画以上に進展したと評価することができる。この他、動物骨や人骨による食性分析も順調に研究が進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ひとつの遺跡の調査は1-2年で完了させるのは不可能であり、今後も引き続きハッサンケイフ・ホユック遺跡の発掘調査を継続し、初期定住集落の様相解明を進めていく計画である。基本的には平成24年度と同様の研究組織が核となって研究を進めるが、人骨資料も数多く出土したため、安定同位体比分析に基づく食性研究をさらに強化する目的で米田穣氏も新たに研究分担者として加わってもらうことにした。
|
Research Products
(5 results)