2014 Fiscal Year Annual Research Report
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24251013
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| Research Institution | University of Tsukuba |
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Principal Investigator |
三宅 裕 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60261749)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹野 研一 山口大学, 農学部, 助教 (10419864)
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
近藤 修 東京大学, 大学院理学系研究科, 准教授 (40244347)
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| Project Period (FY) |
2012-10-31 – 2017-03-31
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| Keywords | 西アジア / 新石器時代 / 定住集落 / 生業 / 国際情報交換 / トルコ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き、トルコ共和国南東部に位置する先土器新石器時代の遺跡ハッサンケイフ・ホユックにおいて発掘調査を実施した。これまでの調査で、ティグリス川上流域に位置する初期の定住集落の様相はかなり明らかになってきたが、本年度の調査によってさらにその様相解明が進んだ。
まず、遺跡東斜面に設定したトレンチにおいて、マウンド頂上部から9.5m下のレベルで自然堆積層が確認された。これにより、本遺跡では9.5mにも及ぶ新石器時代初頭の文化的堆積が存在することが確かとなった。約500年の間にこれだけの厚さの堆積が形成されたということは、定住の度合いがかなり高いものであったことを示している。自然堆積層はかなりの厚みをもった砂層であり、これは遺跡のすぐ前を流れるティグリス川の歴史を考える上でも貴重な資料となる。
第二の成果は、公共的建造物と解釈していた矩形プランの大型建物の下から、プラットフォームなどの特殊な施設を備える円形の建物が検出されたことである。公共的建造物が連続して構築されていたことになり、下層においてもそうした建物が存在すること、この場所は集落にとって特別な場所であったことが明らかになった。
第三の成果は、貯蔵施設であると考えられる小型の円形建物が10基近くまとまって建てられた場所の存在が明らかになったことである。これまでは住居に隣接する場所にこうした遺構が数奇確認されることが多かったが、今回の発見により貯蔵に関しても公共的性格をもった活動があったことが明らかになった。
また、新たに埋葬も確認され、多様な副葬品の納められた例もみられるなど、当時の社会を復元する上で貴重な資料も得られた。現在こうした人骨の同位体分析も進めており、魚も当時の食性に大きく貢献していたことが明らかになっている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度も当初の計画通り、トルコ南東部の新石器時代遺跡で発掘調査を実施することができ、初期の定住集落の様相について多くの新しい知見を得ることができた。特に、本年度の調査で自然堆積層に到達することができ、新石器時代の文化層の厚さが確定し、その堆積ペースもかなり速いものであったことが明らかになった。自然堆積層が厚い砂層であったことは、この地に定住集落が確立される直前の環境を復元するため、またとないデータが得られたことを意味する。また、遺跡中央部に層位的に連続して公共建造物としての性格を持つ建物が確認されたことは、新石器時代初頭の定住集落の構造や社会を考察する上で、大変貴重なデータとなった。
初期定住集落に暮らす人々の食性については、出土した動植物遺存体の分析から、多様な野生動植物に支えられていたことが明らかになったが、より詳細な食性の復元を目指して進めていた人骨の窒素・炭素安定同位体分析も予備的な結果が出てくるまでになった。特に新たな手法であるアミノ酸レベルでの分析により、淡水魚の貢献度が具体的に示せるようになったことは大きく、ベルギーの研究者に同定を依頼した魚骨の分析とともに、定住と漁労の関係について具体的なデータを基に考察できるようになった。また、出土した石皿からデンプン粒を採取することもでき、現生の植物のデータベース化が進めば、具体的に処理された植物性食料について特定できるようになると期待される。
ハッサンケイフ・ホユック遺跡からは、これまでに新石器時代の人骨が100体以上確認され、このこと自体、本遺跡が定住度の高い集落であったことを示す重要な証左となるが、出土人骨の形質人類学的分析も順調に進展し、年齢・性別などの基礎的情報はもちろんのこと、歯の摩耗が激しいこと、虫歯の割合は非常に低いことなど、定住集落に暮らす人々の生活に迫ることのできるデータも蓄積しつつある。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、トルコ共和国南東部において新石器時代の遺跡の発掘調査を継続し、新たな資料を蓄積させていくとともに、これまでおこなってきた出土資料の分析を鋭意進めていく。順調に成果が出始めていることから、これについては平成26年度からある程度の頻度で開催している研究会を今後も引き続き開催し、本研究に参画するメンバー間で情報共有を図るとともに、今後はその成果を海外の学会や学術雑誌において積極的に発信することにも重点をおいていきたい。
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