2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24253002
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 幸弘 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50236329)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 雷放電 / 集中豪雨災害 / アジア / インドネシア / タイ / ミャンマー / フィリピン |
Research Abstract |
1) 観測網の整備・拡充と観測の実施:フィリピンに新たに観測装置の設置を行い完了した。また科学技術大臣と単独面談し、今後の拡充について議論した。ベトナムの候補地選定を行ったが、相手国政府の設置許可を得るのに時間を要し、設置作業は25年度に行うこととした。タイ局のメンテナンス、インドネシア局の拡充についての検討、ミャンマーへの設置の可能性検討を、現地を訪問して行った。国内の2箇所(札幌、八王子)に新たに観測装置を設置し、前橋の現地調査を行った。GEONのカリフォルニア・サンタクルツ局を条件の良い地区に移転するための現地調査を実施した。既存局のデータ取得・収集を行った。2) 落雷の位置評定及びエネルギー推定アルゴリズムの改良:GEONについて、位置評定精度向上のためのアルゴリズム改良を行い、完成に目処を付けた。3) 豪雨地帯の進路予測アルゴリズムの開発:EU FLASHプロジェクトのリーダであるテルアビブ大学のPrice氏の研究室及び観測所を訪問し、EU FLASHの成果の詳細についてレビューをしていただき、アルゴリズムや今後の課題などを理解した。4) 雷放電と降水量の定量的関係の解明:東南アジア地域における、雷放電と積乱雲起源の降水の関係について、連携する国内及び海外研究者(ベトナム・ハノイ科学大学及び水文気象局、フィリピン・気象庁、タイ・チュラロンコン大学)と打合せを行い今後の作業方針に了解を得た。5)台風と雷放電の関係の解明:北大の全球雷観測データなどを用い、台風と落雷の関係について独自の解析を実施し、それらの間に新たな相関を見出した。また、Price氏と意見交換を行い、今後の解析アルゴリズムの開発について方針を検討した。6) 鉛直風と雷放電の関係の解明:関東地方のVLF電波観測網を拡充し、データ取得を行い、アメダス及びX-bandレーダーと比較する解析の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) 観測網の整備・拡充と観測の実施:目標とする海外局および地上局の新規設置について、1局を除いて達成し、残る1局も25年度早期での完了に見込みがある。また海外局は、当初計画よりも多くの観測点を確保する方向で検討が順調に進んでいる。 2) 落雷の位置評定及びエネルギー推定アルゴリズムの改良:GEONについて、位置評定精度向上のためのアルゴリズム改良を行い、完成に目処を付け、オペレーショナルな運用コードの作成に入れる状況になった。 3) 豪雨地帯の進路予測アルゴリズムの開発:EU FLASHプロジェクトのリーダであるテルアビブ大学のPrice氏の研究室及び観測所を訪問し、EU FLASHの成果の詳細についてレビューをしていただき今後の道筋が立った。 4) 雷放電と降水量の定量的関係の解明:東南アジア地域における、雷放電と積乱雲起源の降水の関係について、連携する国内及び海外研究者と打合せを行い今後の作業方針に了解を得た。 5)台風と雷放電の関係の解明:北大の全球雷観測データなどを用い、台風と落雷の関係について独自の解析を実施し、それらの間に新たな発見が得られた。 6) 鉛直風と雷放電の関係の解明:関東地方のVLF電波観測網を拡充し、データ取得を行い、アメダス及びX-bandレーダーと比較する解析の準備ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 観測網の整備・拡充と観測の実施:25年度は、早期にベトナムでの観測装置の設置を完了する。既存局の保守・運用を継続し、データ取得を行う。フィリピン、インドネシアにおける観測網拡充と、ミャンマー、ラオス、マレーシアなどへの新規設置可能性について、相手国と協議を進める。国内では前橋局の設置を完了し、関東地方の定常的な観測体制を完成させる。2) 落雷の位置評定及びエネルギー推定アルゴリズムの改良:25年度はGEON及びAVONの落雷位置決定精度を、それぞれ500km以下、10km以下を達成するアルゴリズムを完成させる。また、AVONについては、落雷のピーク電流とエネルギー推定の手法を確立する。3) 豪雨地帯の進路予測アルゴリズムの開発:25年度は、AVONで実際に得られた国内及び海外の雷データを使用して、豪雨地域の進路予測アルゴリズムの開発を進める。4) 雷放電と降水量の定量的関係の解明:25年度は、AVONで得られた雷放電情報と、ベトナム及びフィリピンで得られた気象観測データとの比較を行い、それらの間の定量的な関係を明らかにする作業を進める。5)台風と雷放電の関係の解明:24年度は、北大の全球雷観測データ(GEONデータの解析)などを用い、台風と落雷の関係について独自の解析を実施し、それらの間に新たな相関を見出した。また、Price氏と意見交換を行い、今後の解析アルゴリズムの開発について方針を検討した。25年度は、24年度の解析に基づき、台風強度予測を行うアルゴリズムの作成を進める。6) 鉛直風と雷放電の関係の解明:AVONの国内観測データをアメダス及びX-bandレーダーと比較する。さらに、北海道大学が中心となって今年度打上げる超小型衛星などを用いた雷雲観測を推進し、AVONデータと比較し、雷雲の発達過程と放電の関係を調査する。
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Research Products
(5 results)