2013 Fiscal Year Annual Research Report
南極赤外線望遠鏡による系外惑星天体の大気成分と構造の研究
Project/Area Number |
24253003
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
市川 隆 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80212992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板 由房 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30392814)
坂野井 健 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80271857)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南極 / 系外惑星 / 赤外線 / 地球型 / トランジット観測 / 国際情報交換 / オーストラリア |
Research Abstract |
系外惑星のトランジット観測を目的とした3色赤外線カメラ、25cm望遠鏡、広視野CCDカメラの開発を行った。3色赤外線カメラはクライオスタット、光学システムの製作を完了し、組み上げ試験を行った。真空試験、冷却試験の結果、仕様通りの性能を得た。また3つのセンサーを同時に駆動制御するための制御システムの開発を行った。25cm望遠鏡の各部品を-80℃において冷却駆動試験を行いながら、望遠鏡システムの組み上げを行った。平成24年度に取得した南極における天文学的観測条件に関するデータ解析を行い、シーイングが0.2"であることを解明した。これは地球上で最も良い値である。大気擾乱の測定と地表付近の気温勾配の解析から接地境界層の厚みが15m程度であることを解明した。ドームふじ基地に設置した高さ9mの観測ステージの経年傾斜を測定した所、年間0.2度の傾きが発生した。これは十分に小さい値であり、2.5m赤外線望遠鏡を雪面上に設置する際に問題となる経年不等沈下の影響が小さいことがわかった。ステージに用いた鋼材の低温脆性を調べるため、同じ鋼材サンプルについて-80℃から60℃までの温度範囲でシャルピー試験を行った結果、-20℃以下で大きな低温脆性があることが判明した。望遠鏡ステージの建設に関して、安全率を高める方法が必要であることがわかった。2.5m赤外線望遠鏡の駆動と支持に用いるRガイドの低温脆性を調査するため、相当品のRガイドの低温下での性能を評価した。その結果、低温下では素材の熱膨張の違いにより、市販品はそのままでは使えないことが判明した。特に、軸受けとボールの隙間を低温下で最適な値にする必要があることが判明した。南極における系外惑星のトランジット観測のための観測手法の検討を行った。その検討を元に、必要となる3色赤外線カメラの低分散多天体機能の仕様について評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ドームふじ基地に設置した観測装置の内、40cm望遠鏡と25cm望遠鏡が電源装置の故障のため、運用を停止している。第8期南極地域観測事業の平成26年度と27年度について一般研究プロジェクトの中止が決定し、ドームふじ基地への遠征も中止となった。その結果、修理の見通しが立たなくなり、また、その他の観測装置について、データ回収を本事業で行う予定だったが、延期となった。現在、ネットワークを用いてデータ回収を行っているが、通信速度の制限から一部のデータ回収に留まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
通信衛星を用いて、データ回収を行うとともに、2.5m赤外線望遠鏡建設のための技術的検討と観測装置の設計、一部製作を続けていく。また、回収できたデータを用いて、ドームふじ基地における天文環境の研究を継続する。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] THE FORMATION OF THE MASSIVE GALAXIES IN THE SSA22 z = 3.1 PROTOCLUSTER2013
Author(s)
Kubo, M., Uchimoto, Y. K., Yamada, T., Kajisawa, M., Ichikawa, T., Matsuda, Y., Akiyama, M., Hayashino, T., Konishi, M., Nishimura, T., Omata, K., Suzuki, R., Tanaka, I., Yoshikawa, T., Alexander, D. M., Fazio, G. G., Huang, J.-S., Lehmer, B.
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Journal Title
Astrphysical Journal
Volume: 778
Pages: 170(14p)
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Dome Fuji Seeing -the Summer Results and the Future Winter-over Observations2013
Author(s)
Okita, H., Takato, N., Ichikawa, T., Bonner, C. S., Ashley, M. C. B., Storey, J. W. V.
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Journal Title
IAU symp.
Volume: 288
Pages: 25-28
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[Journal Article] The SCAR Astronomy & Astrophysics from Antarctica Scientific Research Programme2013
Author(s)
Storey, J. W. V., Abe, L., Andersen, M., Anderson, P., Burton, M., Cui, Xiangqun, Ichikawa, T., Karle, A., Lloyd, J., Masi, S., Steinbring, E., Travouillon, T., Tuthill, P., Zhou, HongYang
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Journal Title
IAU symp.
Volume: 288
Pages: 275-295
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[Journal Article] Dome Fuji in Antarctica as a Site for Infrared and Terahertz Astronomy2013
Author(s)
Seta, M., Nakai, N., Ishii, S., Nagai, M., Miyamoto, Y., Ichikawa, T., Takato, N. Motoyama, H.
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Journal Title
IAU symp
Volume: 288
Pages: 275-295
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[Presentation] 南極2.5m赤外線望遠鏡計画2013
Author(s)
市川隆, 小原隆博, 笠羽康正, 吉田和哉, 持田灯, 板由房, 坂野井健, 中川広務, 大風翼, 沖田博文, 小山拓也, 中井直正, 瀬田益道, 高遠徳尚, 本山秀明, 宮岡宏, 金高義
Organizer
日本天文学会
Place of Presentation
仙台
Year and Date
20130910-20130912
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