Research Abstract |
我々が普段手にする鉄道路線図や旅行ガイドブックに見られるような道路地図は,一般的に地図の見やすさのため,人の手を介して実際の地理上のレイアウトに変形が施されたのち,さまざまな付加情報が注釈ラベルとして挿入される.さらに,その地図情報の可視化は,地図を見る人の視点(人称性)に応じて大きく異なる.本研究の目的は,このような人の視点に応じて異なる地図の視覚的な美的基準を,路線図や道路網などを表現するグラフ構造に対する制約としてとらえ,地図の可視化を制約付き最適化問題として定式化することにある.平成24年度は,特にA.グラフ描画の最適化と,B.グラフ描画と注釈ラベルのハイブリッド最適化について中心に取り組んだ.特に,人称性の違いを異なる美的基準として定式化を行い,地図における路線図網のレイアウトと注釈ラベルのレイアウトの両方を,混合整数線形計画法(Mixed Integer Programming ; MIP)を用いて同時に最適化する,ハイブリッド最適化の定式化とプログラム実装を行った.ここでは,路線図と注釈ラベルの両方の最適化問題を一度に解くと非常に計算量が高いためを,人の路線図描画のプロセスを参考に,3段階の最適化手法として定式化を行い,ユーザが対話的に路線図を設計できる環境の実現を行った.加えて,生成された注釈付き路線図に関して,ユーザによる評価実験を行い,定式化した美的基準の正当性,美的基準が実際に路線図を読みやすくしているかどうかの検証について,注視点計測装置などの計測装置を利用し様々な評価実験を行った. 加えて,3次元都市地図において,重要な経路の遮蔽を回避するための問題を,上記注釈付き路線図の制約付き最適化のための定式化を応用し,一般的な線形計画問題として解く手法の開発も併せて行ったことも付記しておく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に掲げたA.グラフ描画の最適化と,B.グラフ描画と注釈ラベルのハイブリッド最適化の両方が終了し論文発表の形で世界への公表の機会を得ているため.人称性の違いを地図表現に取り込んでいくのは,平成25年度の課題となる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,C.3次元地図表示,D.携帯デバイス表示,E.アニメーション表示の残り3つの地図可視化の問題に取り組んで行く.ここでは,大局的な配置を重要視する第3人称,局所的な配置を優先する第1人称,その両方をつなぐ第2人称のそれぞれに視点において,地図可視化の視覚的な美的基準を定式化し,それらを路線図グラフ構造に関する制約ととらえ,制約付き最適化モデルの構築を行う.
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