2014 Fiscal Year Annual Research Report
大型インタラクティブ・サーフェスのための入出力技術基盤
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24300045
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小池 英樹 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (70234664)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インタラクティブ・サーフェス / ジェスチャ認識 / タッチ入力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は大型インタラクティブ・サーフェスにおける異種入力方式の統合を行った.具体的には,申請者らが開発した高速度カメラを用いたジェスチャ入力システムと,タッチパネルシステムの統合に関する研究を行った. 大型インタラクティブ・サーフェスの場合,遠方の物体には手が届かない.この場合,ジェスチャ認識が有望であるが,ジェスチャ認識だけでは手元の細かな操作が難しい.そこで,この両者を組み合わせるハイブリッド方式を実現した. 利用者がサーフェス上に手を出し「つまむ」ジェスチャを行うと,手の真下にカーソルが表示される.この状態で手を遠隔の物体の方向に斜め上方に移動すると,カーソルが遠方に移動する.上方向への移動距離と前方への移動距離に応じて,遠方への移動距離が決定される.このパラメータを変更して実験を繰り返すことで,最適な比率を導出した.次に,遠方の物体にカーソルが重なった状態で,手を開きもう一度閉じることで物体を把持することができる.この状態で手を最初の位置まで移動すると,物体を手の真下に移動させることができる.真下に移動した物体はタッチパネル機能を使うことで,移動,拡大/縮小,回転など細かな操作が可能となった. 本システムの特徴は,既存のタッチパネルはそのまま使うことが可能であり,ジェスチャ認識に関しては廉価なカメラでも実現可能な点である.今後,特に水平型インタラクティブ・サーフェスの普及を促進する技術の1つとなったと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サーフェスの立体化に関しては,透明弾性体による実装だけでなく,異なる素材を使用した新規性の高い機構を発明できた.この方式では形状を変化させることが可能で,かつ,サーフェス表面の硬度をも変化させることが可能である.本成果は国際会議での発表だけでなく,IEEE Computer Graphics and Applicationsにも採録された. 背面撮影型サーフェスについては,プロトタイプを実現し,その方式の有効性を確認した.ただし,使用する透明LCDの透過度が現状では低いため,光弾性が十分に観察されないことも判明した.引き続き,解決法を考案中である. 微弱電流を用いたアクティブ触覚フィードバックについては,実際のシステムを実現し,改良を重ねることでより位置精度の高いフィードバックが実現できるようになった. 異種入力方式の統合については,タッチとジェスチャの統合が実現され,現在はタンジブルの統合を行っている. 以上から,おおむね順調に進んでいるとかんがえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,個別に開発された基盤技術を組み合わせたシステムとしての実現を目指すと同時に,応用システムの開発を行う.具体的には,オフィス環境でのミーティングテーブルや,医療分野での応用を念頭に置いている. また,開発された基盤技術の異なる種類のインタラクティブ・サーフェスへの適用を模索する.具体的には,従来のようなテーブル,壁といった平面的で硬い投影面だけでなく,布,水,霧,といった異なるスクリーン素材への表示,およびジェスチャ・タッチを利用したインタラクションを実現しようと考えている.
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Causes of Carryover |
H26年4月に申請者が所属先を移動したことにともない,新組織での学事予定等の関連で本来予定していた海外出張を見合わせたことが「旅費」を使用しなかった原因である.同様に,予定していた海外発表のための論文作成補助が必要なくなったことや,研究環境(工作機械,実験システム等)の移動により一時的ではあるがシステムハードウェアの製作が止まったことが「その他」を使用しなかった原因である.ただし現在は通常どおりとなっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年は研究期間の最終年として,これまでの成果の発表を積極的に行うと同時に,システム統合に向けて開発をすすめていく.
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Research Products
(2 results)