2013 Fiscal Year Annual Research Report
立体映像による眼疲労と3D酔いの原因の特定と対策の確立
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24300046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮尾 克 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (70157593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 文雄 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (70134690)
長谷川 聡 名古屋文理大学, 情報文化学部, 教授 (20269674)
渡邉 智之 愛知学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00416190)
大森 正子 神戸女子大学, 家政学部, 准教授 (10397490)
石尾 広武 福山市立大学, 都市教養学部, 教授 (40271035)
高田 宗樹 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40398855)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 3D立体映像 / 水晶体調節 / 両眼輻輳 / 画像のボケ / 被写界深度 / 3D酔い / 重心動揺 |
Research Abstract |
2013年5月に、Simultaneous measurement of lens accommodation and convergence in natural and artificial 3D visionという原著論文を、Journal of the SIDにパブリッシュさせた。若年者が3D映像をみているとき、飛び出しや引っ込みのバーチャルな映像に対して、水晶体調節のピントも、輻輳(寄り眼)のフォーカスも、一致していることを世界で初めて原著で明確に打ち出した論文となる。 さらに、もし、3Dへの調節のピントが、バーチャルな映像に合うのならば、画面に表示されたピクセルはボケるはずだ、という批判者の指摘に対して、被写界深度の範囲内ならば、ボケないということを明らかにし、実際に被写界深度を種々に変更して、視力を測定する実験を行なった。その結果、3D安全ガイドラインは、視差1度以内を、限界に定義して、日本のメーカをその範囲内で拘束しているが、視差2度以内ならば、十分に被写界深度の範囲内であり、ボケずにはっきり、ダイナミックな飛び出しも認知できることを明らかにした。この報告は、2014年10月にシカゴで開催される米国の人間工学会(HFES)での口頭発表に受理されている。 また、3D酔いに関しては、通常のアニマ製重心動揺計を用いた測定と、Wiiのバランスボードを用いた重心動揺測定を、並行して行い、2Dと3D映像とで、重心動揺に与える影響の大きさを分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
世界的に3D映像に対する眼の疲れや3D酔いの原因は、水晶体調節と両眼輻輳が一致しないためである、という間違った通説が研究者たちから信じられてきた。これに対して、申請者らは、調節と輻輳に矛盾(不一致)はない、と主張し、ディスプレイ関係の学会の最高権威であるSIDにおいて、優秀論文賞の受賞と、原著論文の出版を果たし、世界の「常識」を変えてきた。この貢献は、今後、3D映像を見やすく、ダイナミックにしていくために計り知れないインパクトを世界的に与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.若年者(30歳代以下)で、3D立体映像において水晶体調節が画面に固定されず、3Dのバーチャル映像に接近することは、申請者らの豊富な論文・発表によって、世界的に常識となりつつある。そこで、どの程度の飛び出し、引っ込みで、ボケの程度はどのくらいなのかを、実験的に同定し、被写界深度(瞳孔径と明るさに依存)と近視の者のボケ(視力の低下)の程度との関連の理論的な推定を考慮して、ボケの程度のモデルを確立する。 2.眼疲労や3D酔いを起こさない映像と、起こしやすい映像を多種の被験者に視聴させ、3D酔いの程度を重心動揺で、眼疲労度の定量化を実用視力計で測定し、いかなる3D撮影のしかたが、こうした悪影響を引き起こすのか、分析し、理想的な映像を明らかにする。 3.瞳孔間距離の短い小児が、急性斜視などを引き起こさないために、あたらしい基準を明らかにする。瞳孔間距離に短い成人の被験者によって、実験を行ない、倫理的に問題のない研究を行なう。 4.3D映像の前方対象物と遠景の景色を見比べるとき、現状の3D映像では、違和感が生じることがしばしばある。これを解決する撮影方法を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算間違いにより繰越となってしまいました。 人件費として使用予定です。
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Research Products
(17 results)