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2014 Fiscal Year Annual Research Report

回折イメージングの基盤的研究~情報と物質のイノベーション~

Research Project

Project/Area Number 24300065
Research InstitutionMuroran Institute of Technology

Principal Investigator

塩谷 浩之  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90271642)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 前田 純治  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00002311)
渡邉 真也  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30388136)
郷原 一寿  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40153746)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2016-03-31
Keywords位相回復 / 回折イメージング / 逆問題 / アンサンブル
Outline of Annual Research Achievements

平成26年度においては,量子ノイズと光源からのダイレクト部分のデータが欠損した回折パターンに対し,ノイズ影響の緩和と欠損データによる影響をなるべく回避できる新しい位相回復アルゴリズムの構成を行い,計算機シミュレーション行った。
量子ノイズ混入に対応するポアソンノイズ混入の回折パターンを基軸として,低周波部分に相当するダイレクト部分が欠落させた実際の実験データに近い観測強度を設定した。新規に提案するアルゴリズムとして,複数の初期像からの位相回復による候補像群を求め,それらの回折パターンを欠落しているダイレクト部分のみ平均化によって補う。補間された観測強度を用い,複数の初期像から位相回復を行う。すなわち,欠落データ推定と補間にアンサンブルアルゴリズムを組み合わせた手法である。実空間のプライヤがない場合,一般には位相回復では難しい問題設定となる。そこで我々は実像の振幅の総和の予測値を位相回復プロセスにおけるプライヤとして用いている。提案アルゴリズムによって,低周波部分のダイレクトが欠損する回折パターンからも,データの不完全性を回避した回復像が得られることが確認され,さらには,解となる像群は球殻構造となることを明らかにした。
球殻構造については,以前,研究代表者・分担者のこれまでの研究において,量子ノイズ混入の回折パターンでは,拘束条件を完全には満たさない準最適な位相回復像群が関数空間において球殻的な構造を示すことを明らかにしたが,データ欠落でも同様となることであり,位相回復の数理面に新たな成果も生みだしている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

回折イメージングとは,対物レンズを用いずにX線や電子線などの散乱から得られる回折パターンから実像を求める手法である。計算で求めた位相の不確定さを拭えてなく,確固たるイメージング手法としての確立には,確定的な位相回復を手にすることにある。そのことで,回折イメージングの計算機器などの付属ハードへの研究が一気に加速する。1999年のMiaoによる実験データからの非周期構造の物質の位相回復から始まったが,未だに位相回復の不確定さがネックとなっている。
本研究課題を開始してから達成している内容としては,イメージングに欠かせないオブジェクトサポート推定法における新手法開発がある。回折イメージングにおいては,対象試料像の強度ゼロの部分があらかじめ分かる場合は,それを実空間の拘束条件として用いて位相回復を行うが,ナノ以下のサイズの試料において形や位置の事前情報はない。我々は実空間において,位相回復アルゴリズムにおける実空間拘束条件にK-meansクラスタリングによるオブジェクト領域判定を組み込んだダイナミックサポート手法を提案している。シュリンクラップなどの既存手法に劣らず,設定パラメータフリーであることが一番の優位点である。計算機シミュレーションにおいても良好な結果を示している。
さらなる研究達成内容としては,ダイレクト欠損部分の補間と強度に含まれるノイズの両方を軽減する2重アンサンブル構造のアルゴリズムを提案し,先に述べたクラスタリングによるダイナミックサポート法も組み合わせて,実験データからの良好な回復像を得るための数理計算手法を整え,本課題の基盤研究を加速させた。

Strategy for Future Research Activity

回折イメージングとは,対物レンズを用いずにX線や電子線などの散乱から得られる回折パターンから実像を求める新しい顕微法である。これまで位相回復アルゴリズムの数理を中心として,課題である基盤研究を推進している。回折イメージングの計算機器などの付属ハードへの研究が一気に加速する。1999年のMiaoによる実験データからの非周期構造の物質の位相回復から始まったが,未だに位相回復の不確定さがネックとなっている。
今後においては,これまでの研究成果や,全体として進展している関連研究の成果導入を合わせて進めて,回折イメージングの基盤研究を確立する。
位相回復において,最適な位相回復を確立するには,拘束条件を弱十分に満たす回復像の関数空間における様相の解析に情報幾何量の新たに導入して,位相回復の度合いを数学的に表現するフレームワークを構築する。そのためには,情報幾何などの情報系の数理基礎理論からの新しい発掘的な研究が急がれる。これを推進するためには,実空間・逆空間上の複素数値をとる関数空間を情報幾何学に導入し,位相回復に有用なる幾何構造を求めていく必要がある。このような幾何的なフレームワークに,これまでの計算機シミュレーションを含めた研究成果,具体的には,K-meansクラスタリングを応用したオブジェクトサポートの推定法,さらには,2重アンサンブルアルゴリズムによる回折強度に含まれる量子ノイズ,低周波のダイレクトによる欠損への対応手法を入れ込む。以上のような研究推進方策に基づいて,未だに拭いきれない位相回復の不確定さを超えて,物質と情報のイノベーションにつながる回折イメージングの技術開発の基礎を築く。

Causes of Carryover

本研究課題においては,位相回復の数理計算に関する研究を進めて,回折イメージングの基盤研究を確立することにある。そのための研究推進において,計算機やハードウエアの整備は重要な要素の一つとなる。位相回復計算においては,多くの初期値からのアンサンブル回復法を基軸としているために,数多くの中規模計算を行う必要がある。予定していた既存の計算環境も活用しつつ,研究機材整備と研究実施を行っている。しかしながら,次年度の研究実行のためには,計算環境をさらに強力な計算環境としていく必要性が生じている。そのために,次年度において,計算環境整備に関わる経費が必要となる。

Expenditure Plan for Carryover Budget

既存の計算環境を利用しつつも,計算環境を強力にするために,計算機ワークスステーションのCPU換装などのグレードアップ,メモリ換装による内部処理の高速化,さらには,高精度な位相回復のため,多重アンサンブルアルゴリズムの実装を予定しており,そのソフトウエア購入などが挙げられる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] フーリエスペクトル特性を考慮した進化型多目的最適化による少数投影CTの再構成2015

    • Author(s)
      長舟和馬,渡邉真也,塩谷浩之
    • Journal Title

      情報処理学会,数理モデル化と応用

      Volume: 8 Pages: 45-61

    • DOI

      http://id.nii.ac.jp/1001/00141549/

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] A Reinforcement Learning System to Dynamic Movement and Multi-layer Environments2014

    • Author(s)
      Uthai Phommasak, Daisuke Kitakoshi, Hiroyuki Shioya, Junji Maeda
    • Journal Title

      Journal of Intelligent Learning Systems and Applications

      Volume: 6 Pages: 176-185

    • DOI

      10.4236/jilsa.2014.64014

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Detecting Foggy Images and Estimating the Haze Degree Factor2014

    • Author(s)
      Jun Mao, Uthai Phommasak, Shinya Watanabe and Hiroyuki Shioya
    • Journal Title

      J. Comput Sci. Syst. Biol.,

      Volume: 7(6) Pages: 226-228

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.4172/jcsb.1000161

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 欠損領域を含むフーリエ強度からの位相回復における動的サポート構成法の比較検討2015

    • Author(s)
      市橋克哉,塩谷浩之,前原洋祐,郷原一寿
    • Organizer
      電子情報通信学会 画像工学研究会
    • Place of Presentation
      北海道大学(北海道 札幌市)
    • Year and Date
      2015-02-23 – 2015-02-24
  • [Presentation] 欠損領域を含むフーリエ強度からのアンサンブル位相回復2014

    • Author(s)
      市橋 克哉, 塩谷 浩之, 前原 洋祐, 郷原 一寿
    • Organizer
      電子情報通信学会 画像工学研究会
    • Place of Presentation
      鹿児島大学(鹿児島県 鹿児島市)
    • Year and Date
      2014-11-06 – 2014-11-07

URL: 

Published: 2016-06-01  

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