2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24300086
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢向 高弘 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (20286652)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / 感性情報学 / 視聴触覚提示 / インタフェース / 遠隔操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は視聴触覚提示に様々な遅延条件を与えた遠隔操作環境を模擬し、総合的な感性評価実験を実施し、遠隔操作を遂行する上で知覚すべき因子の追求を行う予定であった。この実験を実施するにあたり、2年間をかけて様々なネットワーク環境の模擬装置と、その上で動作しうる3Dビデオ伝送装置および2自由度のバイラテラル制御装置の構築を行ってきた。 3Dビデオ伝送装置は既存製品も存在するが、本実験においては様々なネットワーク環境でも動作し、しかもその環境内で可能な最低遅延で表示できることが必要であった。そこで独自のエンコード方式を新規開発した。この方式は、低遅延を実現するためにバッファリングが行えない条件下において、画像の変化を予測しながら最も効果的な画像ブロック送信タイミングを計画する画期的な手法であり、論文誌に掲載された。また、遠隔操作で必要とされる近視領域においては、従来型の光軸の平行なステレオカメラでは立体しできないため、カメラの輻輳角を制御する必要があった。しかし見やすさの観点から最適な輻輳角を決定することは行われていなかった。そこで、ステレオカメラの輻輳角制御に関する感性評価実験を行い、遠隔操作を行う上で最も見やすい輻輳角を決定することができた。これについても論文誌に掲載された。 さらに、バイラテラル制御装置を実ネットワークで動作させるためには、実時間OSのタスクから低遅延での通信を行う必要があった。そこでビデオ伝送を行うためのIP通信と、制御信号を伝送するための実時間通信とを1つの通信ケーブルに多重化させる独自の通信方式及び通信ドライバを開発した。この成果も論文誌に採択された。 以上のように、研究成果を3編の論文として発表することができたのが今年度の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バイラテラル実験装置については、モータードライバの故障やモータの不具合などのため修理に時間を要してしまった。そのため、視聴触覚提示に基づく遠隔操作環境の総合的な感性評価実験については1年延長して取り組むように計画を変更し、申請・認可済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
既に不具合箇所についての修理は済んでおり、捜査対象や実験環境の詳細な設計を行えば、感性評価実験を実施できる見込みである。できるだけ早い時期に実験を済ませ、残りの期間でデータ整理や論文執筆に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
遠隔操作ロボットに用いるモータの故障及びモータードライバの修理などに時間がかかり、最終的なバイラテラル遠隔操作ロボットの完成およびカメラの選定に至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
修理は全て済んでおり、ロボットの製作はほぼ完了した。カメラの代替機種についてもほぼ選定を終わっており、5月中には物品の購入は全て終了し、6月以降は感性評価実験を開始する予定である。
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