2013 Fiscal Year Annual Research Report
スキル獲得プロセスにおける愉しみの喚起とその構造に関する研究:ピアノ演奏への応用
Project/Area Number |
24300088
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
長田 典子 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50368453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巳波 弘佳 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40351738)
飛谷 謙介 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (50597333)
橋本 学 中京大学, 工学部, 教授 (70510832)
下斗米 貴之 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (50415361)
白岩 史 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (80640276)
片平 建史 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (40642129)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 演奏科学 / 熟達過程 / モーション計測 / フロー / 生理計測 |
Research Abstract |
本研究では,スキル獲得過程を促進する内発的動機付け(=愉しみ)に着目し,その構造の解明と指標化を目指す.具体的には,動機付けモデルの構築と愉しみの客観的計測方法の確立,及びこれらをピアノ演奏スキル獲得プロセスに適用した検証実験を行う. 今年度は,モデルに関しては,課題価値の観点から内発的動機付けと愉しみの客観的評価を行う方法を提案した.評定尺度(興味価値、私的獲得価値、公的獲得価値)とフロー体験との評価により,課題自体が満足感や充実感をもたらすことで,フロー体験を経験し,愉しさや幸福感を日常の中に取り入れることができることを示した.また,ピアノ演奏スキル獲得プロセスに関しては,ピアノ演奏スキルの獲得に種々のフィードバックが効果があることを示し,またスキル獲得に効果的な学習要素と非効果的な学習要素を明らかにした. さらにピアノ演奏動作をリアルタイムに計測するための新たな方法として,解析的DPTをベースとし,複数の指先を同時に追跡し,追跡経路から運指を認識する手法を提案した.指先のセルフオクルージョンを含む,実演奏データに対する実験により本手法の 有用性を確認した.ピアノ演奏動作をインタラクティブに提示するため,リアルタイムで演奏動作CGアニメーションを表示する技術についても引き続き開発を行った.加えて,愉しみをもたらす音楽の印象構造を解明するため,和音性評価モデルの研究,プロとアマの音楽聴取の生理心理的研究についても今年も引き続き実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は2つの課題(計6つのサブ課題)に取り組む計画であったが,概ね計画通りに成果を出すことができた. 課題1(愉しみの喚起・増強に関するインタラクティブ支援モデルの構築)については,3つのサブ課題のうち,A) 愉しみの構造分析については,課題価値評定尺度とフロー体験尺度を組み合わせてモデル化し,フローが課題価値と高い相関がある,すなわち,課題自体が満足感や充実感をもたらすことで、エキスパートだけでなく一般人もが深いフローを経験できる.従って課題価値によって愉しさや幸福感を日常の中に取り入れられることを示唆した.本成果は国際会議で発表予定である.B) 愉しみの客観的計測方法の検討については,25年度は顔表情計測と行動計測による計測方法を提案し,学術論文として投稿を果たしている.C) インタラクティブスキル獲得支援モデルでは,24年度の知見に基づき,トレーニングデータ(エラーなど)をフィードバックすることによって学習が促進されることを確認した.本結果は国際会議論文として発表した. 課題2(ピアノ演奏スキル獲得プロセスの解明と学習効果の客観的評価方法の確立)については,D)ピアノ演奏スキルの分析については,最速タッピング,テンポエラー,指の独立性等が指標として有効であることを示し,論文発表した.E) 学習効果の比較検討についても,テンポエラー,筋電など,異なるフィードバックデータにおける学習効果を計測し,トレーニング初期段階においてテンポエラーをフィードバックすることが効果的であることを示した.本成果は論文投稿準備中である.F)マーカレス手指動作計測技術は,自動運指認識システムを構築し高い認識率で手指動作の計測ができることを確認し,論文投稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画に沿って進めていく予定である.具体的には,課題1(愉しみの喚起・増強に関するインタラクティブスキル獲得支援モデルの構築)により構築されたモデルに基づいて,課題2(ピアノ演奏スキル獲得プロセスの解明と学習効果の客観的評価方法の確立)に関する実証実験を行い,有効性を検証する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基金63万円を繰り越した.この理由は,当初予定では手指動作を計測するデータグローブを購入する予定であったが,検討の結果,データグローブの精度が我々の使用法において十分でないことがわかったことと,逆に,我々が既に保有しているモーションキャプチャシステムを用いた計測手法が確立し,十分な精度を得ることができるようになって,購入を見送ったためである. 当初予定より多くの研究成果が得られているため,成果発表費用(論文投稿料15万円×3本等)に使用する.また今年度から加わったメンバーとの打合せのための旅費(兵庫-東京出張3回分18万円)に使用する.
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] The relevance of the interest value as intrinsic motivation and flow experience during piano playing2014
Author(s)
Nakagawa, S., Kazai, K., Katahira, K., Miyake, Y., & Nagata, N.
Organizer
2014 European Conference on Positive Psychology (ECPP)
Place of Presentation
Amsterdam, Nederland
Year and Date
20140701-20140704
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[Presentation] Skill acquisition in piano performance: The influence of flow on learning2013
Author(s)
Miyake, Y., Yano, H., Nakamura, A., Katahira, K., Furuya, S. & Nagata, N.
Organizer
The 43nd Annual Meeting of Society for Neuroscience
Place of Presentation
San Diego, CA, USA
Year and Date
20131109-20131113
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