Research Abstract |
本研究の最終的な目的は,進化型多目的最適化アルゴリズムに局所探索を組み込んだ進化型多目的局所探索アルゴリズムの自動設計である.この最終目的を実現するために,本年度は,4年間の研究期間の初年度として,以下の研究を試みた. (1)変数の数や目的の数が異なる様々な多目的組合せ最適化問題の問題例を作成し,進化型多目的最適化アルゴリズムを適用することで,問題の特徴や多目的最適化の難しさを調べる. (2)研究代表者の長年の経験と知識に基づき,高性能と思われる構造を持つ進化型多目的局所探索アルゴリズムを実装し,数値実験により性能評価を行う. (3)進化型多目的局所探索アルゴリズムの様々なパラメータを記号列とするメタレベルの遺伝的アルゴリズムを実装し,パラメータ設定の最適化を行う. (4)交叉,突然変異,局所探索,世代更新など,進化型多目的局所探索を構成する操作の順序を記号列とするメタレベルの遺伝的アルゴリズムを実装し,最適なアルゴリズム構造の探索を行う. 上記(1)に関しては,ナップサック問題や距離最小化問題などの問題例を作成し,NSGA-IIやMOEA/Dなどの進化型多目的最適化アルゴリズムの性能評価を行うことができた.上記(2)と(3)に関しても,局所探索と遺伝的探索の順序に関するアルゴリズム構造の調査,および,局所探索確率や局所探索繰り返し数の最適化などを行うことができ,国際会議に論文を投稿できる結果が得られた.上記(4)に関しては,単純な単一目的最適化問題に対して,個体のランダム生成や交叉操作,突然変異操作の適用順序と探索速度の関係調査など,準備段階の研究を行った.ただし,最適な進化型多目的局所探索アルゴリズムの構造探索は,2年目以降の課題として残った.なお,関連した研究として,局所探索を行う方向の動的調整メカニズムの検討も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な性質を持つ多目的最適化問題を生成し,進化型多目的最適化アルゴリズムおよび進化型多目的局所探索アルゴリズムの性能評価を行うことができた.また,進化型多目的局所探索アルゴリズムのパラメータ最適化も行うことができた.構造最適化は2年目以降の課題として残ったが,局所探索方向の調整に関する研究が進んだ.このような研究成果が得られたので,研究は順調と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究が順調に進展しているので,当初の研究計画に従って, (1)進化型多目的局所探索の最適なアルゴリズム構造の探索 (2)最適なアルゴリズム構造と多目的最適化問題の特徴の関係の調査 を実施する.さらに,拡張として,アルゴリズム構造の動的適応メカニズムの可能性を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
直接経費次年度使用額に残金が残ったのは.2013年3月19日から22日まで英国で開催された進化型多目的最適化に関する主要国際会議で研究成果の発表を行ったので,旅費や参加費のために,年度末まで余裕を持たせて研究費を残していたことが原因である.ただし,残金64,169円は次年度研究費の1%程度であるので,当初の使用計画に変更を加える必要はないと思われる.
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