2013 Fiscal Year Annual Research Report
オミックス解析とシステム数理科学による漢方薬効の統合理解
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24300111
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井元 清哉 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10345027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 賢治 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (70191757)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | システム的解析 / 漢方薬効 / オミックス解析 / データ統合 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本年度においては、次の成果を得ることができた。 (1)遺伝子発現データに加え、プロテオーム、メタボロームを統合的に解析することで、より高精度に遺伝子ネットワークを推定するための統計科学的な方法を lower-oder partial rank correlation を用いて構成し、代謝経路、特に TCA サイクルのパスウェイに適用しその精度を確かめた。開発した方法は、ピアソンの相関係数に基づく偏相関係数に基づく Graphical Gaussian Model よりも AUC の意味でより高精度な遺伝子ネットワークを推定できることを示した。 (2)Case-Control比較において、Gene Set Enrichment Analysis は、パスウェイや遺伝子機能単位で比較結果の解釈ができ、いまや遺伝子発現データに基づく Case-Control比較解析の標準的な方法となっているが、複数の比較を統合的に扱い除法を抽出することは困難であった。しかしながら、本研究課題においては、複数の比較を行い漢方薬効のシステムを暴き出す必要があるため、そのための情報学的方法の開発が必要である。そこで、遺伝子セットに含まれる遺伝子毎の結果の情報を利用した新たな方法を開発した。 (3)漢方薬効について解釈を行うためには、漢方診断の「証」について、西洋医学的な病態との関係を明らかにすることは有効である。そこで、漢方診断の「証」である「虚実」「寒熱」「気血水」について、クリニカルデータに基づいて、その予測のための方式を、ロジスティック回帰、ランダムフォレストに基づいて構築した。虚実については90%以上の精度で予測することに成功し、寒熱についても3クラス判別の問題として定式化し80%以上の精度を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
漢方薬効のシステム解析をするための遺伝子発現データを取得し、その解析のための新たな情報科学的な方法論も開発が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本研究課題の最終年度となる。これまでに取得したインフルエンザに加えて新たな病態に関する漢方薬のデータを取得することを計画しており、その取得、および解析を進める。また、本年度までに取得したインフルエンザについてのデータの解析結果をまとめ論文として発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
情報収集のため予定していた国際会議に参加ができなかった。研究の進捗について影響はない。 自身で行う予定であった最終的なデータの取りまとめを依頼するための謝金にあて、その分で更なる研究成果を達成する。
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