2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24300112
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
舟橋 啓 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324548)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体生命情報学 / ハイパフォーマンス・コンピューティング / システムバイオロジー / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
平成24年度は、偏微分方程式ソルバ(シミュレーションエンジン)の理解を進め、GPUによる並列化、および高速化の可能性について十分に検討した。空間モデルには1.反応区画の形状,2.位置関係,3.分子の空間分布,4.分子の移流・拡散・境界での輸送,5.分子間の反応に関する情報が含まれており、各区画には区画内に存在する各核分子の移流境界での膜輸送分子の拡散分子のダイナミクスが偏微分方程式、及び常微分方程式で記述される。空間モデルシミュレータは上記空間モデルより必要な情報を抽出し、分子濃度の時空間発展に関する数値積分を行う必要がある。そのため、偏微分方程式で記述された空間モデルの数値解析を行う際に必要となるのが(a)空間の離散化,(b)時間積分の2点である。検討対象として、空間の離散化に関しては有限差分法と有限体積法を、時間積分に関してはオイラー法、ルンゲ・クッタ法等の数値積分アルゴリズムを対象とした。空間の離散化、及び数値積分アルゴリズムの並列化は粗粒度並列化と細粒度並列化が挙げられるが、今年度は空間の離散化に関して有限差分法を細粒度並列化し、試験的な実装を行った。有限差分法とは、空間を点の集合と考え、空間を格子メッシュで区切り、それぞれの格子点での変数を計算する手法である。計算を行う際は、微分方程式を格子点周りでのテイラー級数を用いて近似した離散式を用いて行う。今年度行った試験的実装では分子の拡散現象のみを並列化することにより、CPUでの実装と比較して4.5倍程度の高速化を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の今年度の予定では偏微分方程式ソルバの理解とそのCPU上での逐次実行型ソルバの実装のみであったが、並列化の検討を進めた結果、並列化の実装を開始することができた。並列化の結果、逐次型のCPU実装と比較して4.5倍程度の高速化を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は拡散方程式、反応方程式、移流方程式のGPU上での並列化に注力する。既に逐次実行型のCPU実装は完了しているため、並列化に進捗があり次第CPU実装及び解析解との精度の比較、検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降は開発用コンピュータを購入し、開発効率の向上を行う。また、各年度においてシミュレータの動作検証を行う。動作検証に用いる空間モデルは形状として単純な円や長方形だけではなく、実際の細胞画像からの形状取得を行うため、培養細胞を用いた実験を行い、蛍光色素による染色後、顕微鏡画像から細胞の形状抽出を行う。
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