2013 Fiscal Year Annual Research Report
ブレインデコーディングに基づくヒト意思決定過程の神経基盤の解明
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24300114
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 信 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90294280)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 意思決定 / ブレインデコーディング / ブレインマシンインターフェース / 非侵襲脳活動計測 / 強化学習 |
Research Abstract |
(1)推論のデコードとその脳内表象 部分観測迷路課題を改変したヒト認知タスクによりfMRI実験を実施し、迷路上でのfMRIデコーダについて、推論に関わる脳領野ごとの解読性能の評価などを継続実施した。デコーダ出力を統合することで、実験参加者の脳内の事前知識を可視化することに成功した。実験参加者数を増やし、結果の信頼性を増した。加えて、通信理論などに基づく復号器を新たに開発し、それを用いることで自由意思決定課題における解読性能を向上させた。 (2)オンラインブレインデコーディングを用いたバーチャルナビゲーションシステム 眼球運動を伴わない空間注意課題により脳波―近赤外分光計測実験を実施し、ブレインデコーディング法の開発を進めた。両モダリティの統合により、80%程度と高い解読性能を得るとともに、空間注意に関する皮質表象を得た(Morioka, et al., 2014)。このデコーディング法のオンライン化のため、オンセット検出を可能とする特徴抽出法の開発を進め、また、実ナビゲーションを用いた評価実験を開始した。実験参加者間の脳活動の違いを吸収するための手法の開発も進めている。次年度は、これらの研究成果を統合して、オンラインナビゲーションシステムとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高水準の専門雑誌への掲載には、証拠固めの追試などが必要となるためそれなりの時間がかかっている。状況に鑑みて、fMRIからのオンラインデコードは先送りとしたいと考えている。一方で、脳波からの解読に関しては当初予定していたものよりも大幅に進展があったため、新たに脳波計を購入し、さらに研究を加速することにした。これらの状況を総合して、「②おおむね順調に進展している」と判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
fMRIデコーダの業績化が遅れている現状に鑑みて、オンラインデコーダの作成は先送りにすることとした。一方で、脳波からの解読および内部状態推定において大きな進展があったので、当初計画を変更し、脳波からのオンラインデコードに切り替えた。H25年度において、必要となる脳波計測装置を導入した。次年度は、この装置を用いて、良質なオンラインデコーダを作成する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
fMRIからの脳内表象抽出研究の論文化に手間取り主に実験費用において余剰が生じたため、その分はH26年度に繰り越した。 脳波(計画変更により昨年度設備を導入)に基づくオンラインデコーダの開発を進めるとともに、その脳内表象の同定のためfMRI研究を継続実施し、工学的にも神経科学的にも高水準の研究成果を得るように努める。すなわち、昨年度より繰り越した実験費用はそのまま実験に充当する計画である。
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