2012 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質神経回路の不可欠な構成要素としてのギャップ結合性神経細胞連結の解明
Project/Area Number |
24300127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福田 孝一 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 教授 (50253414)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | gap junction / GABA / 大脳皮質 / 視覚 / 海馬 |
Research Abstract |
本研究では、大脳皮質の主要なGABA作動性インターニュロンであるパルブアルブミン含有ニューロンが形成する、ギャップ結合による密な樹状突起網について、その存在様式を詳細に解明し、大脳皮質神経回路においてギャップ結合がどこにどのような形で分布しているのか、その「具体的な姿の全貌」を明らかにすることを目的としている。平成24年度の研究により、ネコ新皮質視覚野5層のPVニューロンが、これまで私が明らかにしてきた2/3層および4層のPVニューロンと同様に、ギャップ結合により密に連結した樹状突起のネットを形成している事が明らかになった。しかも5層ニューロン相互の連結のみならず、4層にある大型PVニューロンが5層に樹状突起を延ばして、その遠位部分と5層のPVニュートンが結合している事、さらに同じ4層大型PVニューロンが3層PVニューロンとも結合している事を見いだした。すなわち3~5層のPVニューロンがギャップ結合により樹状突起網を形成しており、入出力構成や機能的役割が異なっているそれぞれの層が、他方では何らかの同期的活動性を共有している可能性が浮かび上がってきた。 これと並行して、マウス新皮質バレル野でもPVニューロンの形成するギャップ結合ネットの詳細な解析を行い、バレルとの立体的関係を追究する研究に着手した。平成24年度の研究により、バレル領域のPVニューロンはバレルおよびセプタと樹状突起野との位置関係を基準に3タイプに分類できる事、この3タイプ間のギャップ結合による連結は興味深いパターンをとることなどを明らかにし、平成24年度日本解剖学会総会で発表した。今年度はさらに研究を推進し、論文化をめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネコ視覚野およびマウス新皮質バレル野のどちらにおいても、おおむね計画に沿った研究が進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に得られた成果をさらに確実なものとするための研究を遂行する。並行してさらに海馬における研究に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基金助成金は3年間の研究の遂行に伴い柔軟に支出することが可能であるため、平成24年度の研究における未使用分を次年度使用額に計上した。これを用いて、主として抗体その他の試薬、実験動物等の必須消耗品の購入に充てる計画である。
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Research Products
(1 results)