2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24300134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 和明 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (30094452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 孝一 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (20546783)
藤原 一志郎 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (80638495)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Necdin / ニューロン / ミトコンドリア / PGC-1α / ユビキチン化 / 遺伝子導入 / パーキンソン病 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
Necdinによるニューロン生存能の強化機構を明らかにするため、ニューロンの生存に重要な役割を果たすミトコンドリアの生合成に及ぼすNecdinの効果を中心に研究した。平成26年度は、Necdinをウイルスベクターを用いて遺伝子導入することで、ミトコンドリア障害によるニューロン死が抑制されるかを中心に検討した。レンチウイルスによってNecdin遺伝子を初代培養大脳皮質ニューロンに遺伝子導入すると、ニューロンでのミトコンドリアの生合成が増加し、ATP合成酵素阻害剤であるオリゴマイシンによる細胞死を抑制した。次に、ヒト神経芽細胞腫由来SH-SY5Y細胞をミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの阻害剤MPP+で処理することによりパーキンソン病培養細胞モデル系を作製してNecdinの効果を検討した。Necdinを過剰発現したSH-SY5Y細胞では、PGC-1αとミトコンドリア構成因子の発現量が増加し、MPP+によって誘発される細胞死が有意に抑制された。さらに、MPP+前駆化合物であるMPTPを投与したパーキンソン病モデルマウスを用いてin vivoにおけるニューロン変性に対するNecdinの効果を調べた。アデノ随伴性ウイルスベクターによって中脳黒質領域にNecdinを遺伝子導入すると、MPTPによる黒質ドーパミン作動性ニューロンの脱落が顕著に阻止された。以上の結果から、NecdinはPGC-1αを安定化してミトコンドリアの生合成を促進することにより、ミトコンドリア障害によるニューロン死を阻止することが示唆される。これらの研究成果は、パーキンソン病などのミトコンドリア障害によって起こる神経変性疾患の病因を明らかにすると共に、予防(治療)のための戦略を図る上で意義があるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた研究計画の中で、培養細胞レベルと動物個体レベルでのパーキンソン病モデル系を開発して、Necdinのニューロン保護作用を調べることができた。、特にミトコンドリア障害によって起こる神経変性に対してNecdinが強い阻止効果があることを示すことができた。研究を完成するためには、さらに、遺伝子改変マウスやウイルスベクターを用いた実験が必要であるが、実験系の樹立に時間が掛かり、予定通りには進まなかった
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Strategy for Future Research Activity |
Necdinによるミトコンドリア生合成の促進による神経変性への阻害効果を調べるために、遺伝子改変マウスやウイルスベクターを用いた研究を続け、神経変性疾患の成因を明らかにする。特に、Necdinがパーキンソン病で障害される中脳黒質のドーパミン作動性ニューロンにおいてミトコンドリア合成を促進するのか、また、他のミトコンドリアに関連した神経変性疾患も防御できるのかについて研究を進める。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に計画した研究を終了して論文発表をする予定であったが、研究を完成するためには、さらに、遺伝子改変マウスやウイルスベクターを用いた実験が必要であることが分かった。これらは既に平成26年度から行っているが、実験系の樹立に時間が掛かり、予定通りには進まなかったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、上記の実験を行うため、動物、試薬類などの「物品費」、研究成果の学会発表のための「旅費」、特任研究員(短時間)雇用のための「人件費・謝金」、論文掲載費など「その他」に充てる予定。
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Research Products
(6 results)