2014 Fiscal Year Annual Research Report
シンタキシン1アイソフォームのシナプス伝達における機能分化
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24300142
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
赤川 公朗 杏林大学, 医学部, 教授 (80129303)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シンタキシン1A / シンタキシン1B / 機能分化 / 速い神経伝達物質放出過程 / 遅い神経伝達物質放出過程 / 自閉性障害 / haploid |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに電気生理学的及び生化学的解析によりsyntaxin(sy)1Aはカテコラミンやセロトニン等のモノアミン系の遅い神経伝物質放出過程を、そのアイソフォームであるsy1Bはグルタミン酸、GABA等の速い神経伝達物質放出過程を制御していることが示された。またsy1Aとは異なり、sy1Bはグリア細胞からの神経成長因子の放出を調節していて、神経細胞の分化・生存・維持に重要な役割をしていることが示された。 本研究より派生した新たな成果として、人間の自閉性障害(ASD)のゲノムでは約6%の例でsyntaxin1A遺伝子がhaploidとなっていることを見出した。しかしsy1Bには異常は認めなかった。既にマウスのsy1A遺伝子欠失実験により heterozygote (haploid)の場合には、ヒトの自閉性障害に類似した行動異常が惹起されることを報告している。従って少なくとも一部のASDにおいてはsy1A遺伝子コピー数の減少が行動異常を誘起する直接的な原因であることが初めて明らかにされた。 またsy1A heterozygoteマウスの脳内ではペプチド性伝達物質であるオキシトシンの分泌低下が見られた。これはオキシトシン神経系を制御する脳内ドーパミン系の機能低下に起因しており、このマウスにオキシトシンを脳内投与すると社会性行動異常が正常に回復することが分かった。最近、人間においてもASDに見られる社会性行動異常に対してオキシトシン投与の有効性が報告されているが、ASDではオキシトシン遺伝子の異常は見出されていない。従って上記の遺伝子改変マウスの結果を勘案すると、ASDにおけるオキシトシンの治療効果の基本的な作用機序として、sy1Aの遺伝子欠失あるいは遺伝子発現異常が関与している可能性が示唆された。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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