2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24300144
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
坂場 武史 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (80609511)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シナプス / 神経 / 生理学 |
Research Abstract |
本年度は昨年度の研究を継続しながら、いくつかの新たな試みが成功した。 (1)本年度は昨年度からの研究を継続し、エンドサイトーシスに関連するIntersectinがシナプス小胞の伝達物質放出部位への動員、つまりエキソサイトーシスにも関与することを示した(Sakaba et al., 2013)。また、カリックス型シナプスで、カルシウムがカルモジュリンを活性化し、さらにそれがMunc13を活性化することでシナプス小胞の動員をすることをノックインマウスを使って証明することができた(Lipstein et al., 2013)。これによって、シナプス小胞の動員に、いわゆるドッキング、プライミングの過程(Munc13)と、エンドサイトーシスによる小胞タンパク質の伝達物質放出部位からの除去(Intersectin)の双方が重要であることが示唆された。 (2)カリックス型シナプスにおいて、シナプス小胞タンパク質であるシナプトタグミンと膜の動態を同時測定できるようになった。エキソサイトーシス、エンドサイトーシス時に双方の動態に違いがあるかどうか、調べている。 (3)カリックス型シナプスにおいて、全反射蛍光顕微鏡を用いてシナプス小胞1個の動態を直接モニターできることができるようになった。中枢シナプス前終末では初めての試みであり、現在、定量的な解析とデータのとりまとめを急いでいる。 (4)プルキンエ細胞の小型のシナプス前終末から直接電気記録ができるようになり、抑制性のシナプス伝達が興奮性のシナプス伝達がどのように違うかを興奮性カリックス型シナプスとの比較によって検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度に続いて論文公刊をおこなっている。全反射蛍光顕微鏡を使って、1個のシナプス小胞の動態を直接可視化できたこと、また抑制性シナプス前終末からの直接記録が可能になったことは技術的な観点からも当初の計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究を維持することで問題ないと考えているが、仕事がまとまり次第、論文公刊を速やかに進めることが大事である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の繰り越し分およびは平成25年度分は、物品費(設備備品)を中心として、消耗品などに使用したが、工夫して消耗品を節約したため、物品費が比較的少額で済んだ。結果として、部分的に物品費を次年度に繰り越すことになった。研究自体は研究計画によって、予定以上に進んでおり、問題はなかった。 研究室の活動の活発化、研究の予想以上の進展に伴い、電気生理学に加えて、蛍光プローブの併用、改変タンパク質の導入など、26年度は本事業の経費について分子生物学関連が当初予定よりも増加する。そこで、繰り越した分については、研究計画遂行のために必要になる分子生物学用の機器(遠心機)の購入にあて、また消耗品として使う予定である。これらの状況のもと、基金分、補助金双方、研究計画にそって適切に利用する
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