2012 Fiscal Year Annual Research Report
メッセンジャーRNAの生体内デリバリーシステム新規開発と疾患治療への応用
Project/Area Number |
24300170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
位高 啓史 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任准教授 (60292926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 武彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任准教授 (80415075)
緒方 徹 国立障害者リハビリテーションセンター, 運動機能系障害研究部, 部長 (00392192)
川口 浩 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40282660)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | mRNA / DDS / ナノミセル / 免疫原性 / 中枢神経系 |
Research Abstract |
平成24年度はmRNAデリバリーの基礎的な検討として,ナノミセル型キャリアを形成するポリマー設計およびキャリア調製条件の検討を行った.ポリマー側鎖のエチレンジアミン繰り返し数を変化させた改変型ポリマーのin vitro評価により,偶数繰り返し数を持つポリマーでは早期からのタンパク発現が得られる一方,奇数繰り返し数ポリマーでは,安定なキャリア形成,mRNAの徐放による長期持続発現の得られることが明らかとなった.さらに物理化学的な観点からの検討を加えて行く予定である. In vivo投与への試みも開始し,PEG-PAspDETブロックポリマーを用いたナノミセル型キャリアによるマウスくも膜下腔(脳槽)投与を行った.投与部位である脳幹部のみならず,大脳皮質および頚髄から腰髄の脊髄組織まで広くタンパク発現が得られ,mRNAキャリアが安定に脳脊髄液内を分布したことが示された.またnaked mRNAと比べ,キャリアによる投与では脊髄組織内でのmRNAによる炎症反応が有意に抑制された.TLRによるmRNA認識がキャリア化によって回避されることが免疫病理学的解析によって明らかとなった.ナノミセル型キャリアによるmRNAの安定な保持および免疫原性抑制の機能により,分泌型ルシフェラーゼ発現櫨NAの投与では,脳脊髄液内へ5日間持続する分泌タンパク発現が確認された.中枢神経系組織へのタンパク徐放を可能とするシステムとして有用であり,PLoS One誌に論文発表した.脊髄損傷モデルに対するBDNF投与による治療評価の検討を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画より前倒しして,平成24年度からmRNA内包ナノミセル型キャリアのin vivo投与を開始し,良好な結果を得た.特にmRNAの免疫原性をキャリア化によって効果的に抑制しうることは,mRNAの臨床応用へ向けて重要な成果である.またテンプレートDNAへのPolyA Tail配列組み込みについても,120A組み込みによるタンパク発現効率の向上をin vitro, in vivoとも確認しており,現在さらに長いPolyA鎖の検討を進めているところである.このように,本研究は当初の計画以上に進展しているものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
ポリマー設計最適化およびPolyA Tail配列組み込み型mRNA確立の両面から,タンパク発現効率の向上を図るとともに,モデル動物に対する治療実験を本格化する.上述の脊髄損傷モデルに加え,骨格筋ハイドロダイナミクス法投与による末梢神経損傷モデルの治療への適応を検討している.
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