2014 Fiscal Year Annual Research Report
組織工学を基盤とした自己細胞による血友病治療の創出
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24300174
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大橋 一夫 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40364062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 充彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80192128)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 再生医療 / 血友病 / 細胞遺伝子治療 / 血液凝固因子 / 組織工学 / 細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液凝固第IX因子(FIX)発現欠損が原因疾患である血友病Bあるいは血液凝固第VIII因子(FVIII)発現欠損が原因疾患である血友病Aを対象疾患として取り上げる。平成24年度・25年度の成果を基に、平成26年度においては、増殖した血友病個体の肝細胞あるいは血液派生血管内皮前駆細胞(BOECs)に対する遺伝子導入実験および細胞シート化実験を行った。これら実験から以下の知見を得た。 (1)培養血友病B肝細胞およびBOECsへの遺伝子導入ー平成25年度に確立した90%以上コンフルエントの初代肝細胞培養系およびBOECs培養系において、アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入至適化実験を行い、細胞障害を発生することなく90%以上の肝細胞・BOECsに遺伝子導入する技術を開発した。 (2)uPA/SCIDマウス肝臓内増殖血友病B個体由来肝細胞の分離・培養・遺伝子修飾ー平成25年度に確立した血友病B個体由来肝細胞のマウス肝臓内増殖系を用いて、増殖した血友病B個体由来肝細胞の分離技術を確立した。初代培養が可能な肝細胞分離条件が設定でき、アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入も効率よく行える条件が確立できた。 (3)遺伝子治療済血友病個体由来細胞を用いた血友病治療ー上記(1)にてアデノウイルスベクターを用いて遺伝子修飾をおこなった血友病B個体肝細胞を門脈から移植したところ、肝臓実質内において移植細胞が生着し、移植前は検出できなかった血液凝固活性が約1%前後で検出された。このことから、本細胞療法において、血友病治療効果を確認できた。等実験においては、レシピエントとして血友病マウスまたは重症免疫不全マウスを用いて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血友病個体由来の複数種類の細胞における培養・増殖系が確立でき、それら培養環境においてアデノウイルスベクターを用いた血友病原因因子の遺伝子導入も行い得た。また、それら細胞を用いた血友病マウス個体への移植実験を展開し、血液凝固活性の獲得を確認した。これらの結果は血友病治療において治療効果を発揮し得る細胞療法であることを示していることから、血友病治療として有用かつ新規の細胞遺伝子治療法の確立に本研究は貢献するものである。これらのことから、研究は順調に進呈していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、主に血友病マウス個体由来の細胞を用いて、血友病に対する新規治療としての細胞・遺伝子治療の開発を行った。血液凝固活性の獲得という血友病治療効果を発揮し得たことから、次のステップとして、ヒト細胞を用いた検討を企画している。細胞の利用が可能であれば、血友病患者由来細胞を用いた検討をすすめることによって、新規血友病治療としての確立を進めることが望まれる。
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Causes of Carryover |
平成26年度に予定していた血友病Bマウスの繁殖による移植実験が、マウスの繁殖能が予想より低く、動物実験引数が少なくなったため、マウス実験手術関連費用、マウス内組織機能検索関連費用を節約することができ、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年に予定していた血友病Bマウスの繁殖確保を続けるとととに、重症免疫不全マウス(SCIDマウスまたはNOGマウス)の購入による実験実施を予定している。重症免疫不全マウスをレシピエントとして選択する実験は、本申請実験の次のステップとしてのヒト細胞を用いた実験展開にも重要な情報を発信し得るため、積極的に展開したい。遺伝子修飾を実施した血友病肝細胞を血友病Bマウスまたは重症免疫不全マウスに移植し、血液凝固因子産生をはじめとする機能解析を行う。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] CCAAT/enhancer binding protein-mediated regulation of TGFβ receptor 2 expression determines hepatoblast fate decision.2014
Author(s)
Takayama K, Kawabata K, Inamura M, Ohashi K, Nagamoto Y, Okuno H, Yamaguchi Y, Tashiro K, Sakurai F, Hayakawa T, Kusuda-MF, Muzuguchi H.
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Journal Title
Development
Volume: 141
Pages: 91-100
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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