2014 Fiscal Year Annual Research Report
加圧トレーニングによる骨格筋肥大の分子機構の解明と高齢者サルコペニアへの応用
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24300189
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 敏明 東京大学, 医学部附属病院, 研究員 (50227790)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Sarcopenia / Anti-aging / Muscle hypertrophy / Kaatsu training / rat skeletal muscle / 高齢者 / 筋蛋白質合成系 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者サルコぺニアにおいて、下肢とくに大腿四頭筋の強化が極めて重要である。本年度、高齢者における下肢の筋肉のサイズに及ぼす効果につき検討した。方法は、高齢者(年齢61から79歳)を無作為にBFRトレーニング群(BFR-T)、及びコントロール群(Ctrl)に分けた。 BFR-Tグループは、ゴムバンドを使用して12週間 2日/週、低強度スクワットと膝伸展のトレーニングを行った。 BFR-Tグループは、トレーニング中に両側の大腿基部に加圧ベルトを装着した。膝伸展の最大自発的等尺性収縮(MVC)、大腿四頭筋の筋横断面(CSA、MRI法)を測定した。BFR-T群では、大腿四頭筋CSAは有意に増加した(平均7.2%)。膝伸展MVCも有意に増加した(平均14.2%、p <0.01)。以上より、高齢者において、下肢筋力強化として負荷として弾性バンドを用いた場合でも、十分な筋力増強、筋肥大をきたすことが判明した。 これまで、ラット加圧モデルにより、血流制限(BFR)下での低強度電気刺激による等尺性収縮により、筋蛋白質合成系mTOR系を活性化し、筋肥大をきたすことを報告した。さらに、乳酸/ H+輸送体(MCT)、GLUT4、およびPGC1αのタンパク質発現に及ぼすBFRの効果につき、ラット加圧モデルにより検討した。ウエスタンブロット法によりトレーニング前後で各種蛋白質発現、real-time RT-PCR法によりmRNA発現を検討した。コントロールと電気刺激のみの群と比較して、BFR下の電気刺激は、MCT1タンパク質, GLUT4とPGC1αの発現も有意に亢進した。このように、血流制限下の電気刺激は、グルコース代謝およびミトコンドリア機能も改善すると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者において加圧トレーニングは、下肢においても安全に筋力増強、筋肥大をきたすことが証明された。さらに、ラット加圧モデルにおいて、血流制限下の低強度電気刺激は、筋蛋白質合成系mTOR系の活性化とともに、グルコース代謝およびミトコンドリア機能なども改善するように思われた。さらに、より詳細に加圧トレーニングの筋肥大機序ならびに多面的効果につき、ラット加圧モデルにより蛋白発現、mRNA測定により詳細な検討を継続する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
内外の学会発表及び論文化する。
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Causes of Carryover |
加圧トレーニングによる骨格筋肥大の分子機構の解明のため、ラット加圧モデルを用いて、各種蛋白質の発現を検討しているが、期限内には終了せず、検討を継続したい。なお、2015年4月から獨協医科大学へ転出しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体などの消耗品、さらに、論文掲載料にすべて使用する。
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