2013 Fiscal Year Annual Research Report
水中におけるヒトのロコモーションの仕組み-水中動作解析システムの構築と応用-
Project/Area Number |
24300215
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 求 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (20272669)
三好 扶 岩手大学, 工学部, 准教授 (10392193)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ドルフィンキック / 身体感覚 / 回流水槽 |
Research Abstract |
本研究の目的は,回流水槽と屋内プールでのドルフィンキック泳について,泳動作のキネマティクスと質問紙による身体感覚への注意を調査し,その違いを明らかにすることであった.7 人の全国大会出場レベルの男子大学競泳選手 (年齢 20.4 ± 1.5 才, 身長 1.73 ± 0.06 m, 体重 68.1 ± 6.0 kg) が本研究に参加し,同一泳者が屋内プールと回流水槽で泳いだ.この泳者らの最大努力時の泳速度の 95% 泳速度を目標泳速度に設定した.屋内プールでは,メトロノーム音を用いてキック頻度を段階的に変化させて泳速度を調節した.身体 7 点をLEDマーカーでマーキングし,2D-DLT 法を用いて,両環境下におけるドルフィンキック中の泳者のキネマティクスデータを得た.加えて,泳者が抱く身体感覚への意識を調査した.両試技で泳速度 (p=.73),キック頻度 (p=.45) に有意差は認められなかったにも関わらず,屋内プール (30.45 ± 2.01% @ height) よりも回流水槽 (33.09 ± 2.80% @ height) においてけり幅が有意に増加した (p<.05).また,屋内プールよりも回流水槽において体性感覚 (屋内プール: 9.71 ± 3.50 点, 回流水槽: 12.29 ± 3.35 点, p < .05) と視覚 (屋内プール: 1.14 ± 0.38 点, 回流水槽: 2.14 ± 1.21 点, p = .06) に注意を向けていた.このことから,回流水槽環境下では泳者は意図的に運動を適応させる可能性が考えられた.よって研究者やコーチは,回流水槽を利用する際にその違いを十分に認識する必要があると思われる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高輝度LEDをマーカーとして泳運動を解析するシステムの構築に成功し,これまで手動でデジタイズを行っていたのに比べて,オートデジタイズが可能となり,分析速度が飛躍的に向上した.また泳動作に関する運動学的パラメータの算出課程を自動化することによって,泳者に対する計測結果の即時フィードバックが可能となった.
|
Strategy for Future Research Activity |
計測システムについては,当初の計画通りほぼ完成したと考えられるので,今後は本システムを用いて,分析対象者を増やしたり,異なる泳法の分析にも着手したいと考えている.また流れの可視化システムと連動させ,泳者の動きに伴って如何に流体力が発生するのか,その機序を明らかにしてゆきたいと考えている.
|