2013 Fiscal Year Annual Research Report
運動によるサルコペニア予防・改善に関わるエピジェネティクス制御機構の解明
Project/Area Number |
24300224
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
町田 修一 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 准教授 (40421226)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サルコペニア / 幹細胞 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
加齢に伴い骨格筋の筋肉量および筋力は低下する。しかし、この加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)の発症メカニズムの詳細については十分に解明されていない。申請者らはこれまで、ヒトのサルコペニアと類似した表現型を示すサルコペニアモデルラットと実験モデル(筋損傷再生モデル)を用いて、筋再生に重要な役割を担う組織幹細胞である筋衛星(サテライト)細胞の増殖能および筋分化能が加齢に伴い変化することや、高齢期の再生筋では脂肪蓄積が顕著に認められることを報告してきた。本研究では、高齢期骨格筋で認められる筋損傷後の再生能の低下や脂肪蓄積に対する事前の運動トレーニングの予防効果について、サテライト細胞の後天的な遺伝子発現制御に着目して検討することを目的としている。平成25年度では、加齢および身体活動量の減少がゲノム修飾(DNAメチル化、ヒストンアセチル化)に影響を及ぼすかについて検討した。具体的には、筋損傷後の回復過程における再生筋や走トレーニングした骨格筋、ギプス固定による萎縮筋を用いて、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC4、HDAC5、HDAC6、Sirt1)などのタンパク質の発現レベルを免疫染色およびウエスタンブロット法を用いて検討した。今年度は特に、骨格筋から細胞質等の成分をほとんど含めずに核タンパク質を抽出することに成功し、加齢や身体活動量がエピジェネティクス制御の分子メカニズムに及ぼす影響について評価できる手法が確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、加齢や身体活動量がエピジェネティクス制御の分子メカニズムに及ぼす影響について厳密に評価するために、骨格筋から細胞質等の成分をほとんど含めないように核タンパク質を抽出することに時間を要してしまった。そのため、当初の実験計画よりも進行が遅れてしまったが、今後の研究の発展には必要な過程であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、H25年度に確立した手法などを用いて、運動トレーニング後の高齢期骨格筋から摘出された筋サテライト細胞の増殖能や筋分化能、脂肪細胞への多分化能を検討することを予定している。そして、加齢および運動トレーニングの効果が認められた機能について、筋サテライト細胞で特異的に変動するゲノム修飾(DNAメチル化、ヒストンアセチル化)を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、加齢や身体活動量がエピジェネティクス制御の分子メカニズムに及ぼす影響について厳密に評価するために、主に筋損傷後の回復過程における再生筋やギプス固定による萎縮筋を用いて、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC4、HDAC5、HDAC6、Sirt1)などのタンパク質の発現レベルを免疫染色およびウエスタンブロット法を用いて検討した。しかし、骨格筋から細胞質等の成分をほとんど含めないように核タンパク質を抽出する方法を確立するために多大な時間と労力を要してしまった。そのため、当初の実験計画では高齢期ラットを多数購入する予定であったが、そこまで到達できなかった。 H26年度は、多数の実験動物(高齢期ラット)を購入する予定であり、H25年度に確立した高度な測定技術を導入するため、特に分子生物学的測定に関して、専門のトレーニングを受けた研究支援者を1名雇用し、分析・解析技術の維持・発展をはかる。また、動物の飼育やトレーニングの実施に当たっては、多くの時間と労力を必要とするため、大学院生・学部生の協力を得て研究を遂行する予定であり、謝金を有効に活用する。
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Research Products
(7 results)