2013 Fiscal Year Annual Research Report
介護職の笑顔が認知症患者に及ぼす効果 と 認知症患者の笑顔が癒す介護職のストレス
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24300230
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
豊島 裕子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (70328342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 直史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80138742)
斉藤 和恵 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90601956)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ストレス / 介護職 / 認知症 |
Research Abstract |
認知症介護における問題点を探り、その解決策を検討するのが本研究の目的である。 介護者を対象とした研究は、順調に推移している。平成25年度は、(1)介護者をシフト勤務時と昼間勤務時に分けて、それぞれのストレスを比較する研究 (2)ストレス解消前後の事象関連電位による集中度の差異を検討した。 (1) シフト勤務と昼間勤務:申請者が従来用いている心電図RR間隔周波数解析によるストレス評価に合わせて、①アクチグラフによる睡眠の質の評価 ②就労中の眠気の評価を行った。;シフト勤務者は、一般に短時間睡眠で、入眠潜時が長いことが分かった。また、シフト勤務では生活リズムの位相が半日ずれるが、RR間隔周波数解析で求めた自律神経機能の日内変動周期は、昼間勤務時とずれないことが分かった。つまり、シフト勤務では、生活リズムと、自律神経リズムの間に解離が生じていることが分かった。 (2) ストレス解消:被験者が通常ストレス解消のために行っている習慣的行為の前後の集中力を事象関連電位P300潜時で測定した。;喫煙、ゲーム、音楽鑑賞、ビデオ鑑賞など実験室内で実行可能なストレス解消法実行後、過半数の被験者で、事象関連電位潜時の短縮を認めた。ストレス解消法が、リラックスというよりは集中力改善の効果を持つことが分かった。 認知症を対象とした研究は、現在十分な結果が得られていない。認知症の程度によっては検査方法の説明を理解し、課題遂行の可能な症例も存在するが、課題を理解できない症例も多く存在する。申請者の当初の研究計画では表情誘発事象関連電位を用いる予定であったが、画像に集中させることが困難で、今回は快適な音刺激による事象関連電位を採用した。また、課題を行うことが困難な症例においては、聞き流す形の課題での脳波誘発も試み、こちらは良好な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
認知症患者における誘発電位記録に若干の困難を感じている。特に視覚誘発電位は、認知症特有の集中力の欠如から課題の遂行が極めて困難である。聴覚刺激の場合は、意識を集中しなくても比較的円滑に聴覚情報は入力され、これに対する反応波をとらえることが可能であった。ただし、課題遂行はやはり困難であった。 今後、注意力散漫な状態での視覚情報入力法を検討し、研究期間終了までの間に認知症患者の表情誘発電位の記録を完成させたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、研究期間の最終年度に当たるため、当初の研究目的を達成するためにいくつかの工夫をする。 (1) 対象選択の細分化:認知症対象例の重症度を細分化し、さまざまなレベルの患者を対象に検討したい。これまでは施設入居中の患者のみを対象としたため、比較的重症度の高い症例が多く、課題遂行、測定中の集中などが極めて困難であった。本年は、社会生活可能な、在宅の患者を対象とすることを考えたい。 (2) 表情誘発事象関連電位記録のプロトコルに改善を加え、難易度を下げる。また、現在用いている画像刺激のカテゴリーを検討する。2次元の画像刺激ではなく、3次元の映像刺激なども試し、より強く視覚野を刺激できる刺激を検討する。
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Research Products
(1 results)