2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者に対するライフキャリア変容型の集団健康教育法開発とその評価
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24300234
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
橋本 佐由理 筑波大学, 体育系, 准教授 (10334054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 倫子 明海大学, 外国語学部, 講師 (70276179)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 糖尿病患者 / 集団健康教育法 / ストレス性格 / ライフキャリア / レジリエンス / 支援者養成 / グループワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生活習慣病はストレス性格病であるという考えに基づき、ストレス性格の改善やストレスへのレジリエンスの向上を加えた新しいグループワークの開発を目的した研究である。 全体を3段階に分けて進めている計画であり、26年度は、第2段階として、研究協力を得ている複数の機関の糖尿病患者に対して、開発したライフキャリア変容型集団健康教育法の教材を用いて介入群への介入し、介入前後及びフォローアップ調査を進めた。また、前向き調査の調査票配布と回収、記入漏れ分の聞き取り調査を終え、データ分析と調査協力者のカルテデータの取得を進めた。第3段階の、普及のための保健医療専門職を対象とした支援者養成のために、クリニックスタッフとの勉強会を行った。 介入症例からは、患者自身の原問題と現在の心身健康の課題とが結びついていることに気づき、そこに焦点が当てられると行動変容が起こされることが多く見られた。調査研究では、患者の心理特性と生活習慣との関連を分析し、(1)不健康行動を促す行動感覚が高群になるほど、有意に運動頻度が少なく、運動時間も少なく、間食や夜食といった不健康な食行動の傾向が見られること、有意に自己抑制度が高く、感情認知困難度が高く、自己憐憫度も高いというストレス耐性の弱い心理特性を持ち合わせている傾向が見られた。(2)健康管理や運動の自信感の高群になるほど、有意に運動頻度が多く、運動時間が多く、抑うつが低いという傾向、また、食生活の自信感が高群になるほど、有意に不健康な食行動が少なく、抑うつが低いという傾向が見られた。 したがって、不健康行動を促す行動感覚を持ち合わせている患者は、食や運動などの自信感を高め、生活習慣や行動感覚の変容を支援する必要がある。しかし、このような患者は、ストレス耐性の弱い心理特性を持ち合わせていることから、まず、そのストレス耐性の弱さを克服する支援が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、25年度には、第1段階として、糖尿病患者へのライフキャリア変容型の集団健康教育法の開発のの予備介入と集団教育法開発を行った。26年度は、第2段階の、複数の機関の糖尿病患者に対して、開発したライフキャリア変容型集団健康教育法による介入と前向き調査、第3段階の普及のための保健医療専門職を対象とした支援者養成のための勉強会の開催をした。現在、糖尿病患者の小集団に対するグループワークは、26年度にはその対象者は50名を超え、カルテデータの取得も終えた。前向き調査の第1回調査への協力は、350名得られ、カルテデータの取得も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、生活習慣病はストレス性格病であるという考えに基づき、ストレス性格の改善やストレスへのレジリエンスの向上を加えた新しいグループワークの開発を目的した研究である。 第1段階として、糖尿病患者へのライフキャリア変容型の集団健康教育法の開発のために、5名程度の小集団への複数回の予備介入を行い、その効果をクリニックスタッフとのカンファレンスや質問紙調査とカルテデータにより把握し、効果の出ない症例には個別介入をして原因を解明しながら、集団教育法を開発し、教材の開発も終えた。 第2段階として、研究協力を得ている複数の機関の糖尿病患者に対して、開発したライフキャリア変容型集団健康教育法の介入群への介入は進めており、27年度も引き続き行う。そして、27年度には、非介入群として、通常運動栄養集団指導法の介入群を設定し、その参加者に対して調査を行い、介入前後及びフォローアップ調査で、両群の介入効果を検討する計画である。27年度は、前向き調査研究の方は、第2回調査を行い、患者の心理特性と生活習慣、血糖指標との関連を検討する計画である。カルテデータの転記による取得が、かなり時間を要するため、時間を確保し、急ぐ必要がある。 第3段階は、普及のために保健医療専門職を対象とした支援者養成と養成した支援者によるフォローアップ介入を試み、その効果を検討する計画である。
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Causes of Carryover |
介入予定が年度を越えてしまった影響から、介入や調査計画は順調に進めているものの、前向き調査の第2回調査が、2か月ほどずれた状態で進んでいるため、調査票送付が、予定どおり進まなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前向き調査の第2回調査は、27年度の5月実施予定であり、4月に調査票の発送をする準備がすでに整っており、研究計画通りの内容で進めることには支障はない。
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