2015 Fiscal Year Annual Research Report
実践的有用性の高いアルゴリズム・プログラミング学習教育支援環境の構築
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24300282
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
伊東 幸宏 静岡大学, 法人本部, 学長 (20193526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 講師 (40359758)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学習支援システム / プログラミング教育 / アルゴリズム教育 / 教師支援システム / 自動評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
[27-1]GUIを用いた対象世界の視覚化とソースコード・操作系列の関係性の提示に基づくアルゴリズム・プログラム学習環境の構築に関する研究:多重ループを対象として、対象世界の挙動を視覚化するとともに、ソースコード・操作系列の関係性を学習者に提示することにより、プログラム実行時の挙動と、それを実現するループ記述の間の抽象度の差を埋め、それらの関係の理解を支援するシステムを構築した(雑誌論文2)。 [27-2]プログラムの挙動可視化システムにおけるレイアウト言語を用いた教師の説明意図の指定機能に関する研究:模範プログラムの挙動をプログラムの対象世界上で視覚化するシステムにおいて、レイアウト言語により教師の説明意図を表現するオブジェクトの挿入を指定する機能を実現した(雑誌論文3)。 [27-3]デバッグ学習支援システムの構築に関する研究:プログラミング初学者にはデバッグの体系的方法論を持たず、場当たり的デバッグ活動を行うためにプログラミングに行き詰まる者が少なくない。本研究ではデバッグの標準的手順を示唆する対話的ワークシートと、プログラムの正しい挙動の想起を支援するアルゴリズム視覚化機構からなるデバッグ学習支援システムを構築した(雑誌論文4)。 [27-4]プログラミング演習に携わる教師を支援するシステムに関する研究:主に2つの成果を上げた。1つはクラス全体で学生が開発中のプログラムをモニタリングし、これを解析することによって課題進捗状況の分布を教師に提示するシステムに関するものである。この成果に関する論文が国際学会誌に掲載された(雑誌論文1)。もうひとつは演習中に蓄積される各受講生に関する指導履歴や教材などを蓄積し、リアルタイムで教員同士が共有・参照可能にするシステムの開発である。これは小規模ながら実教育環境で試用するに至った(学会発表4。この発表は優秀発表賞を受賞した)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はアルゴリズム・プログラミングにおける学習者を支援するシステム、および教師を支援するシステムを総合的に開発することを目的としている。研究成果27-1、27-3は学習者支援システムに関する成果であり、研究成果27-2、27-4は教師支援システムに関する成果である。このように、当初の目的通りに2つの側面からの研究が進展している。特に27-1は学習教育支援システムの分野で権威ある国際学会誌であるResearch and Practice in Technology Enhanced Learning (RPTEL)に採録されており、高い評価を受けている。27-2,27-3はコンピュータ利用教育に関する歴史ある大規模な国際会議である International Conference on Computers and Education 2015(ICCE2015)に採択されており、上記に準ずる高い評価を受けている。27-4も国内発表ながら優秀発表賞を受賞するなど、一定の評価を受けている。 さらに本研究では実践的有用性の高いシステムの構築を目指すことが目的であることから、実教育現場への導入実験が必要であるが、27-1、27-2は大学における実授業に導入しての評価実験を行っており、27-4も小規模(2日間)ではあるが大学における実授業にて試用している。これらの点から、単なる机上のものではない成果を順調に挙げている。 以上の点から、本研究は十分順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で示した各項目につき、今後の研究の推進方策を述べる。 [27-1]GUIを用いた対象世界の視覚化とソースコード・操作系列の関係性の提示に基づくアルゴリズム・プログラム学習環境の構築に関する研究については、これまでのシステム導入授業を通じて、学習者がシステムを使用する過程で記述した階層的なアルゴリズム記述が、その学習者の理解状況を良く反映していることがわかっており、これに基づいた授業改善の方策を加えたより良い教育実践の方法を開発する予定である。これにより一層実践的有用性が高いシステムとなることが期待される。 [27-2]プログラムの挙動可視化システムにおけるレイアウト言語を用いた教師の説明意図の指定機能に関する研究については、レイアウト言語による教師の説明意図記述の作業効率を高めるために、現在のCUIに代わってGUIを用いたレイアウト言語エディタを開発する。これにより、現場教師によるシステム利用がより簡単になる効果が期待される。 [27-3]デバッグ学習支援システムの構築に関する研究については、まだプロトタイプシステムを構築した段階で教育現場への導入が行われていないため、これを目指す。2016年度に入ってからこのシステムを活用したデバッグ手法講座の教材と教育シナリオの作成を進めている。 [27-4]プログラミング演習に携わる教師を支援するシステムに関する研究については、試用した授業とは異なる大学・科目の授業にも演習支援システムを導入する計画が進行中である。
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Research Products
(8 results)