2013 Fiscal Year Annual Research Report
日韓における青銅器原料の国産開始時期と産地の変遷に関する研究
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24300306
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50205663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤尾 慎一郎 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30190010)
高田 貫太 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60379815)
土生田 純之 専修大学, 文学部, 教授 (50228524)
亀田 修一 岡山理科大学, 地球環境科学部, 教授 (10140485)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 材質分析 / 産地推定 / 青銅器 / 鉛同位体比 / 韓国 / 原料 / 国産化 |
Research Abstract |
韓国の各財団および日本国内の教育委員会が所蔵する青銅資料を対象として、鉛同位体比測定用試料のサンプリングと、それらの分析を行った。韓国では東亜細亜文化財研究院、義城召文国博物館、嶺南文化財研究院、東亜細亜文化財研究院、日本国内では新潟県胎内市教育委員会、鹿児島県喜界町教育委員会の資料が調査対象である。 このほか、前年度に調査を行った研究機関のうち、韓国の漢江文化財研究院、嶺南大学校博物館、釜山博物館、中部考古学研究院、大成洞古墳博物館、国防文化財研究院、日本の埼玉県松山市教育委員会、千葉県印旛郡市文化財センター、金沢市教育委員会の資料に対して鉛同位体比分析を行い、報告書を作成した。 また,最近、韓国内の鉛鉱床を系統的に鉛同位体比分析した研究者と、それと韓国出土青銅資料との関連性を考察している研究者の2名を招聘し、研究会を行った。その報告によれば、韓国内の鉛同位体比は、地質によって大きく4つのゾーンにわけることができ、判別分析によって高い確率で相互の識別が可能であるとのことであった。その予備的研究として、忠清道南部の水中から引き上げられた、高麗時代の難破船に積まれていた青銅容器類の原料産地が、「ゾーンIII」(嶺南山塊の中部~西南部と沃川褶曲帯)内に帰属すると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国の調査財団との協力関係により、当初に計画していた韓国出土資料の調査は順調に進んでいる。日本国内の古墳出土資料の鉛同位体比の分析とその解析がやや遅れ気味であるが、主な資料の分析用試料採取は済んでいるため、次年度にその測定を順次進めていく予定である。また韓国内における鉛鉱床の調査が大きく進展をみせたので、これまでにはできなかった考察の準備が整った。以上の点から、全体としてはおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
韓国内で、鉛鉱山の系統的な同位体比分析結果が発表されたので、調査に携わった韓国人研究者を招いて国際研究集会を行い、日本国内の鉛鉱山のデータとの比較を含めて、歴史資料への適用に関する考察を深めていく。これまでの研究の成果から、中国産原料とされてきた領域の中に、朝鮮半島産の可能性のあるものが含まれている可能性があるという指摘を行っているので、その妥当性を検証する。また、過去の共同研究で得られた朝鮮半島製青銅器の原料産地についても、あらためて見直しをはかり、これまで指摘してきたもの以外に、朝鮮半島産原料のものが存在しているのかどうかについても、再検討を行う。 韓国の資料については、引き続き考古調査財団や、市立博物館、大学博物館などを研究協力機関として、連携をとって調査を進める。本研究でテーマの一つとなっている日本産原料の開始時期について、自然科学的な分析から可能性が指摘されているのは6世紀末~7世紀初であるが、国内ではまだ7点しか確認されていない。これまでに検出されている資料の出土地域(島根県・岡山県)やその周辺の銅鋺・銅鈴・耳環などを中心に、調査点数を増やす計画である。
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Research Products
(17 results)