2013 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性微小環境の誘導機序および腫瘍免疫制御機序の研究
Project/Area Number |
24300325
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大島 正伸 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (40324610)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胃がん / 炎症 / 腫瘍免疫 / TGF-beta / マウスモデル |
Research Abstract |
消化器がんの間質組織には慢性炎症による微小環境が形成され、それが発がんを促進すると考えられる。また、炎症性微小環境では、がんを攻撃する「腫瘍免疫」が抑制されている可能性も指摘されている。本研究課題では、炎症反応依存的に胃がんを自然発生するマウスモデル(Ganマウス)を用いて、炎症性微小環境では腫瘍免疫がどのように抑制または制御されているのかを明らかにする事を目的として実施している。GanマウスにクロドロネートリポソームやCsf1中和抗体を投与して、胃がん組織でマクロファージを部分的に枯渇させると、局所的な腫瘍細胞死が確認された。また、胃腫瘍組織にFoxoP3陽性T細胞が認められた事からTregの存在が示唆されたため、Tregの枯渇による胃がん組織形成への影響を観察するためにGanマウスの胸腺摘出手術を行なった。症状の解析は最終年度に実施する。また、TGFbetaによる免疫抑制を解除するために、TGFbeta受容体遺伝子のTgfbr2を欠損する、Tgfbr2 (flox/flox) ROSA26-CreERマウスを用いた解析を行った。このモデルでは、タモキシフェン依存的に全身の細胞でTGFbetaシグナルが遮断される。これまでの解析では、Tgfbr2をコンディショナルに欠損させたGanマウスでは、対照群に較べて胃がん発生が顕著に抑制される傾向を認めている。今後、骨髄だけでTgfbr2を欠損したGanマウスを作製し、骨髄細胞でのTGFbeta遮断による腫瘍免疫の再活性化でも、胃がん発生が抑制されるか解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全身のTGFbetaシグナル遮断により、腫瘍発生が抑制される可能性を示す結果が得られている。最終年度には骨髄移植実験を加えて、TGFbetaによる腫瘍免疫の抑制が発がんに関与している可能性を検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
Tgfbr2(flox/flox)マウスからGanマウスに骨髄移植を実施し、タモキシフェン投与後に骨髄細胞でのTGFbetaシグナル遮断による腫瘍形成への影響をX線CTにより経時的に解析する。また、組織学的解析によりTreg細胞、CD8+T細胞などの浸潤を解析し、サイトカイン発現プロファイルの比較解析を行ない、TGFbetaシグナル遮断による腫瘍免疫の活性化の有無を検証し、腫瘍の退縮状況との相関について明らかにする。さらに、遺伝子発現解析によりTGFbeta遮断により免疫反応の方向性(Th1、Th2など)が変化するかについて明らかにする。同時に、タモキシフェン投与により、胃がん組織に浸潤するマクロファージの型が、腫瘍促進に作用するM2型から抗腫瘍性に作用すると考えられるM1型に変化するかについて、経時的な免疫組織解析により明らかにする。
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Research Products
(19 results)
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[Book] 細胞2013
Author(s)
大島正伸
Total Pages
460-461
Publisher
ニューサイエンス社
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