2013 Fiscal Year Annual Research Report
血液中遊離DNAの腫瘍マーカーとしての実用化ーLINE1を中心として
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24300337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須並 英二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70345205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津野 寛和 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50282637)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80571942)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腫瘍マーカー / 大腸癌 |
Research Abstract |
癌の診断、治療に際し腫瘍マーカーの果たす役割は非常に大きい。腫瘍マーカーは主として、スクリーニング、確定診断の補助そして癌治療経過中の評価等に使用される。特に予防的医学の側面からはより良いスクリーニングのための腫瘍マーカーの開発が必要とされている。腫瘍マーカーとして現在実用化されているものは、ほとんど全てが血液中の癌関連たんぱく質、糖鎖その他の抗原、特定のホルモンの定量であり、遺伝子学的な腫瘍マーカーはmCEA等数えるほどしか存在しない。 #1.大腸癌及び無担癌患者の血液を採取し、それらを対象とし血清遊離DNAの分離後、検討を行った。 血清遊離DNAの総量がLINE1定量と相関し、それが腫瘍マーカーとしての意義を持つ可能性が示唆された。癌患者における血清遊離DNAのサイズ分布が健常人のそれと比較し比較的大きいものが多く含まれることを利用しDNA integrityの腫瘍マーカーとしての有用性に関しても示唆されている。 次いで血清遊離DNA におけるLINE1遺伝子の腫瘍マーカーとしての特異度を向上させるためLINE1 Methylationの検討を行った。方法はSBMを行った後にtaqman probeを用いてrealtime PCRを施行することで定量化した。さらにこの検討の妥当性をsequence を行い確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由)測定方法に関しての技術的問題はほぼ解決され、次に検討の妥当性を証明するため複数の手技による測定の一致を示す目的でsequenceも行った。検討手技の妥当性は担保されているため、健常人のサンプル収集、患者サンプルの収集と並行し、経時的なサンプル収集も追加してきた。 #1 健常人と大腸癌患者の血清中遊離DNAの量的相違が明らかになり、質的相違をLINE1のintegrity, hypomethylation incdex等の側面から検討し解析中である。 #2 LINE1単独ではなく組み合わせてより精度を向上させるための遺伝子変化に関しても検討中である。 #3 他臓器癌に関しても検討を加えるべく、乳がん、前立腺癌等の血液サンプルの入手を行ってきた。大腸癌同様の傾向を認めており、広く応用可能な汎用的腫瘍マーカーとしての可能性が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方向性としては、 # 大腸がん患者の術後の変化を経時的に検討する。このことで血中LINE1の量的あるいはサイズそしてmethyalationなどの変化が再発を早期に指摘するためのマーカーとなり得るかどうかの検討を行う。 # 大腸がん患者の術前と術後の変化を検討する。このことで血中LINE1の量的あるいはサイズそしてmethyalationなどの変化が再発予測ののマーカーとなり得るかどうかの検討を行い、補助化学療法の適応決定に役立つかどうかを検討する。 # 血中LINE1の量的あるいはサイズそしてmethyalationなどの化学療法施行に伴う変化を検討。化学療法の有効性を早期にあるいは画像診断まで行うことなくより低侵襲に把握することが可能かどうかを明らかにする。 # 大腸癌のみならず、血液腫瘍マーカーのあまり発達していない乳がんにおいてこれまでの研究を展開する。乳がんは、管腔臓器にできる大腸癌と異なり、体内にとどまる実質臓器の癌であるため、癌より放出される遺伝子は全て血液中にドレナージされる。そのため、血液中のDNAマーカーはより鋭敏な反応を示すことが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
乳がんや前立腺癌等の他臓器癌に関する検討のためのサンプル収集に時間を要し、その検討を次年度まで繰り越したことが大きな理由。貴重な血液サンプルであるため、実験可能な回数にも限りがあることや解凍凍結を繰り返すことでの質のあまり良好ではない血中DNAの崩壊を最小限にする目的で、そしてデータの正確性を担保するためになるべく短期間に大量のサンプルを処理することが重要である。そのために少数での検討を今年度は繰り返し、来年度まとまったサンプル数での検討を行うことが必要となった。 術後のサンプルに関してもなるべく同一実験回での検討をそして最小回数で解凍凍結を行うために中途なものは来年度に検討する事とした。 こういった実験の集約性が重要であるため、サンプル収集は恒常的に行われているが検討は特定の時期に高密度に施行される。結果、来年度の検討数が増えたため繰り越しが必要となりました。 繰り越した資金を使用し、今年度収集した血液サンプルからの血中遊離DNAの分離、精製そしてDNA定量、LINE1 hypomethylation index算出のためのDNA分析を行いますが、そのために、実験器具、試薬を使用します。その他の研究に関しては前述の予定通り行います。
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