2012 Fiscal Year Annual Research Report
がん特異的タンパク質dynAP:新規がん治療標的としての検証
Project/Area Number |
24300343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
水上 民夫 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (80367896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 玲 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (60144565)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子標的治療 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、申請者らが確立した"ヒト化酵母"技術を駆使して新たに発見したがん特異的発現タンパク質dynAPの新規がん治療標的分子としての妥当性を証明することにある。dynAPは細胞膜およびゴルジ体に局在する膜貫通型タンパク質であり、調べた限りではヒトがん細胞に特異的に発現している。すなわち検討したヒトがん由来細胞株40種のうち48%に相当する19種の細胞株で発現する一方、正常細胞株においては発現が見られなかった。 dynAPの機能を解明するために解析を行った結果、dynAPは細胞の生存・増殖を促進するAktのSer473のリン酸化を亢進し、活性化していることがわかった。shRNAによるdynAPのノックダウンにより、Aktの活性化は消失し、さらにがん遺伝子産物Hdm2の分解を促進することによりがん抑制遺伝子産物であるp53およびp21が蓄積した。またdynAPノックダウンはE-cadherinの発現を亢進した。以上の結果は、dynAPががん細胞の生存・増殖、さらにはがんの転移にも深く関係していることを強く支持しており、極めて有望な新規創薬標的分子といえる。 NIH3T3はマウス正常細胞株であり、ヌードマウスなどに移植しても腫瘍を形成しない。この細胞にがん遺伝子を発現させると、移植により腫瘍を形成する。ヌードマウスがん移植モデルにおいてdynAPのがん遺伝子活性を検証するために、EGFPで標識したNIH3T3にdynAPを発現した細胞(NIH3T3/EGFP/dynAP)を作成した。本細胞はコントロールのNIH3T3/EGFP細胞に比べて、軟寒天中でコロニー形成能を獲得することを見出した。本知見により、培養細胞レベルではあるが、dynAPのがん遺伝子活性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞レベルではあるが、dynAPのがん遺伝子活性を示す知見を得ることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
dynAPを介するAkt活性化キナーゼの同定:Aktのリン酸化による活性化には、mTORC2他の複数のキナーゼの関与が報告されているが、dynAPが如何なるキナーゼを介してAktを活性化しているかは不明である。そこで、dynAP発現細胞株を利用し、Akt活性化候補キナーゼをshRNAノックダウンすることにより、dynAPを介してAktを活性化するキナーゼ候補を同定する。
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