2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24310008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50260518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜崎 恒二 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80277871)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 炭素循環 / 生元素動態 / 海洋微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
学術研究船白鳳丸のKH-14-3次航海(2014年6月~8月、主席:小川浩史)において、中部北太平洋における難分解性溶存有機物と微生物群集構造の鉛直分布パターンの南北比較の調査を取組んだ。難分解性溶存有機物に関する試料は、15観測点の全層(10~25層)から採取し、ガラス繊維ろ紙(Whatman GF/F)による濾過海水をガラスアンプルに封入し、陸上での分析のために持ち帰った。難分解性との比較として測定した、全遊離態アミノ酸は、数nM程度と極めて低濃度で存在することがわかったが、中でも、グリシンの占める相対的な割合が高い事がわかった。同時に放射性同位元素でラベルしたグリンシンに対する従属栄養細菌群集の取り込み活性を測定した結果、他のアミノ酸(ロイシン)に比べ著しく活性が低いことが判明し、従来、易分解性として知られてきた遊離態アミノ酸の中に、分解性の極めて低いグリシンが含まれていることが明らかとなった。 微生物試料に関しては、白鳳丸KH-13-7次航海及びKH-14-3次航海によって、西経170度ラインに沿って北緯68度から南緯50度までの連続的なトランセクトサンプルを得ることができた。これらのサンプルのうち、25観測点(Stn.0-13)の表層海水と9観測点の深度別海水(0, 10, 100, SCM, 200, 400, 1000, 2000 and Bottom-50)5Lまたは10Lを採取し、船上で孔径3.0μmと 0.2μm のフィルターに連続的に濾過した。研究室に持ち帰った後、約200サンプルのフィルターからDNAを抽出し、細菌種分類の指標となる16SrRNA遺伝子を増幅、454シーケンサーによる塩基配列の決定を行った。これらの配列データをもとに微生物群集構造の解析、環境要因と合わせて統計学的な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が白鳳丸研究航海に主席として乗船し、船上における分担者との共同実験も順調に行った。白鳳丸の二つの航海によって、中部太平洋の南太平洋から亜北極に至る広い南北断面において、難分解性溶存有機物と微生物群集構造の両者のパラメータをセットで解析するための機会を得たことは、今後微生物炭素ポンプの現場における検証をさらに進める上で極めて貴重と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
白鳳丸で採取した試料のうち、分析が終了していない、有機物および微生物群集構造のパラメータの分析を進める。得られたデータをセットで比較し、微生物炭素ポンプに対する現場海域における検証を進める。
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Causes of Carryover |
平成26年度、学術研究船白鳳丸KH-14-3次航海において採取した試料について、溶存有機物中のアミノ酸の分析を行いASLOのAquatic Science Meetingにおいて発表する予定であったが、アミノ酸の変動が予想より複雑であったため、発表は見送り、変動要因を解析するにあたり分析の計画を一部変更し、溶存有機窒素・炭素の定量を加えた新たな解析をすることとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
溶存有機窒素・炭素の分析を加えた溶存態アミノ酸の動態解析と、ASLO(またはIMBER)の国際大会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てる予定である。
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Research Products
(9 results)