2014 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムライダーの新規観測モード:3次元観測への拡張
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24310010
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川原 琢也 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (40273073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野澤 悟徳 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (60212130)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナトリウムライダー / レーザ / 国際研究者交流 / トロムソ / 3次元観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の鉛直方向固定観測に限られるライダー観測手法を拡張し、天空の任意方向の観測が可能なシステムを開発している。星の座標で姿勢座標を校正した望遠鏡の視野にレーザ光を導入する技術が核となる。導入にはレーザ軌跡を画像認識し望遠鏡視野中心にレーザが向かう様にレーザ射出ミラーにフィードバックをかける。今年度は次の検証を行った。(1)[望遠鏡の絶対姿勢調整] 様々な条件下で望遠鏡の姿勢の調整を行い、座標が特定できる複数の星を用いて姿勢のずれを評価し、最も観測に適した姿勢を探した。この結果、絶対方向に対して1.9mradの角度範囲内で方向を合わせられる姿勢に調整できる。(2)[観測模擬試験] 天頂を含む扇型内の複数方向に対し、方向ごとに送受信系の姿勢座標(レーザミラーの角度や望遠鏡の方位仰角)を記録する。次に順次観測方向を移動させ、望遠鏡視野方向とレーザ方向のずれ角の検証を行った。検証の結果、望遠鏡(視野の広がり1mrad)の視野中心から0.1mradの範囲でレーザ光を確認することができた。送受信系とも姿勢の再現性が極めてよく、あらかじめ方向を決めた多点観測ならば再現よく観測できることが分かった。(3)[レーザ自動導入] 観測望遠鏡の視野から外れたレーザに対する処理として、副望遠鏡の広い視野画像で軌跡を捉え、レーザ上端を自動検出して視野の中心になる様ミラー制御をする。この画像認識プログラムで高速なレーザ先端の認識は可能となったがミラーへのフィードバック制御は次への課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目標は、3次元ライダーシステムの構築とそのテスト観測である。重要な課題である、「観測方向を切り替えるごとに望遠鏡の視線方向にレーザを射出し、狭い視野(1mrad)に入れる」ことは、評価実験により可能であることが確認された。しかし、最終目的である、全システムを統合して制御し観測データを取る点は未達成である。また、ナトリウム観測用光源は申請者の所属大学にはなく、導入予定のノルウェーのシステムにて実験を行わねばならないが実現していない。したがって、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
観測システムとして完成させるために残された課題は、(1)レーザと望遠鏡を同一方向に向ける、レーザを視野に入れる、観測を行う、次の方向に移動する、の動作を統合して制御するソフトウエアの開発、(2)ライダーが設置してあるトロムソに開発したシステムを持ち込み観測テストを行う、である。年度前半にはこれまで同様国内での実験を繰り返し、夏以降、ノルウェーに輸送した物資を用い、現地のレーザを用いて観測を行う。
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Causes of Carryover |
最終年度はライダー観測を行うノルウェーのトロムソに物資を輸送し、現地で観測の予定だった。しかし現地テストを行う前の国内での確認実験が遅れ、申請した期間内にノルウェーでの観測が達成不可能となった。そこで、研究期間を延長し、予定していた最終年度の予算の一部を延長年度に繰り越し研究を継続することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物資のノルウェーへの輸送費、渡航費用にあてる。また、国内における機器開発の必要物品の購入に充てる。成果発表用の旅費としても使用する。
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Research Products
(3 results)